セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「老後貧乏にならないためのお金の法則」(田村 正之著)

日経新聞の紙面解説委員兼編集委員で、「マネー&インベストメント」のコーナーでもお馴染みの、田村正之さんの新著です。

投資関係のイベントや、取材などを通して交流させて頂いているご縁で、ご本人よりお贈り頂きました。
著者の方から本を頂くのは初めてです。田村さん、ありがとうございます。

本書は、タイトルの通り、老後にお金に困らないための対策を、分かりやすく解説した本です。

冒頭で、今後の日本の「長寿化」「年金の実質減額」「インフレ」「金利の抑圧」という要因によって、今のままでは多数の人が、生きている間にお金が底をついてしまう状態=「老後貧乏」になってしまう可能性が指摘されます。

そして、「老後貧乏」を防ぐために、次の4つの対策をできるだけ早くから実行することが必要としています。
・インフレに負けずに堅実に増やしていく資産運用
・年金を自分で増やす工夫や共働きなどの収入増
・公的医療保険など社会保障制度の徹底活用
・保険や住宅ローンなど支出の見直し

章立ては次のとおりです。

第1章 迫る老後貧乏-増大する4つのリスク
第2章 実は難しくない堅実な資産運用
第3章 間違いだらけの外貨投資
第4章 医療と保険の知られざるツボ
第5章 持ち家がいいか、賃貸が正解か 老後の住まいをどうする?
第6章 年金は大丈夫?
第7章 相続も贈与も賢く考える 老後資金の最後の逆転策


マネープランや老後資金について考える場合には、投資や貯蓄だけでなく、不動産、保険、年金、相続などの分野をトータルに、バランスよく知識をつけていく必要があると思います。

その点、本書では、投資だけでなく、老後のための資産形成の観点から、お金に関するほぼ全ての分野をカバーしているので、全ての現役世代の人に役立つ一冊です。

投資信託にしても、生命保険にしても、外貨預金にしても、お金の分野では「売れている商品」=「いい商品」とは限らないと明言していて、金融機関ではなく消費者側の立場できちんと書かれています。

知っておくべきおトクな制度もたくさん紹介されています。
例えば、「高額医療・高額介護合算制度」なんていう制度は知りませんでした。

一方、初心者向けっぽい本と思いきや、金利や為替に関する専門的な知識や、各商品や制度に関する細かいデータや具体例もたくさん出てくるので、FPの人やマネー知識がそれなりにある人にも十分役立つ本になっています。

逆に、欲を言えば、裏返しになりますが、初歩的な解説本としては、もう少し分量を少な目で、簡単めの記述にしてもよかったのかな、と思います。もちろん、それだと著名FPさんなどのよくあるマネー本とあまり違いがなくなってしまうので、難しいところですね。。

「老後が不安だけどよく分からない」という人が、積立投資、保険の見直し、住宅ローン、相続対策・・・などの各論や、年金や各種の公的制度の細かいところにいきなり入っていくと、木を見て森を見ず、的になりかねません。

まずは全体像をつかみ、我が家ではどの辺から手を付ければいいのか?を考えるためにも、有用な本です。