セルフ・リライアンスという生き方

自分も社会も豊かにできるお金の使い方について。日々の投資や寄付の記録を綴ります。

ARUNのインパクトレポート説明会に参加

10月に、クラウドファンディング(JAPANGIVING)で作成費を支援した、NPO法人ARUN SEEDの「インパクトレポート」が完成したとのことで、お披露目会に参加しました。



 

インパクトレポートは、ARUN合同会社が過去5年間、カンボジアとインドの社会的企業計6社に対して行ってきた投資の成果を、社会的インパクトの切り口からまとめたものです。

20数ページで、以下のような構成です。
・ARUNの社会的投資の目的
・投資先の選定基準
・社会的インパクトの評価方法・評価指標
・各投資先企業(カンボジア5社、インド1社)の事業内容と成果

※レポートは非公開ですが、ARUNの事業評価方法や投資先企業についてはこちら。
ARUNの投資先事業モニタリング
ARUNが投資する社会的企業

代表の功能聡子さんによるレポート全体の説明と、アドバイザーである政策研究大学院大学の大野泉さんのコメントの後、参加者でのグループディスカッションでした。

参加者は、クラウドファンディングでの寄付者が中心で、ソーシャルインベストメント方面に予備知識のある人が大半でした。
金融機関や、NPO、SROIネットワーク、日経の記者さんなど、専門の方もいて議論はかなり盛り上がりました。

<ポジティブ意見>
・投資先企業のバリューチェーン(仕入→生産→販売→アフターサービスという業務プロセス)を細分化して、社会的価値(雇用創出など)を分析・評価しているのが分かりやすい

・他のNPOなどが、これから同様のインパクトレポートを作成する際にとても参考になる

一方、参加者からは批判的な意見や注文も多く出されました。

<ネガティブ意見・提案>
・そもそも「誰のためのレポートか?」(既存の出資者のためか、ARUNやインパクト投資を知らない人のためか)

・当初の課題の背景説明が不十分なので、どの程度のインパクトがあったのか分からない。

・社会的インパクトを数値化しすぎると、かえって成果が分かりにくくなる。

・「投資」である以上、事業性や経済的リターンについての説明があってもよい。

私も、もう少し詳しいものを想定していました。

実は、レポート作成過程で、どこまで詳しく書くかはかなり議論されたそうです。
既存の出資者向けの詳細な内部評価資料は別途あるそうですが、今回は、社会的インパクト評価資料としてだけでなく、一般の人向けに広く「社会的投資」をPRする広報資料的な意味合いも持たせたため、「誰向けのレポート」かがややぼやけてしまったようでした。
これはARUNのメンバーの方も十分理解していました。

参加して感じたのは、改めて、社会的インパクトをどのように評価するか、どう分かりやすく伝えるか、の難しさです。

社会的インパクトを客観的な評価指標で数値化する試みはもちろん大事で、特に、受託者責任のある機関投資家にとっては、事業の比較可能性や投資家への説明責任の点から必要だとは思います。

ただ、個人の「共感」ベースの投資や寄付の場合、「雇用が何人増えた」「何人が新たに学校に行けるようになった」という細かい数字よりも、実際に現地を見たり、会って話を聞いて現地の変化を肌で感じる方が、社会的なインパクトをより実感できる面もあるなと思いました。

例えば、鎌倉投信の「いい会社ツアー」などは、ある意味で、投資家が投資を通じて生まれた投資リターン以外の社会的な成果を感じることのできるイベントだと思っています。
その点、海外向けの事業の方が、国内に比べると伝えるのが難しいです。

いずれにしろ、社会的投資の立場で、社会的インパクトをまとめたのは国内では初めての試みで、「世に問うた」意義はあります。
できればサマリーだけでも公表してもらえるといいと思います。