セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

鎌倉投信の「いい会社訪問」 トビムシ IN 飛騨(その3) FabCafe Hida

8/11の鎌倉投信の飛騨ツアーの最後です。
飛騨産業、オークヴィレッジと飛騨を代表する木工会社2社の訪問の後、飛騨古川にあるトビムシの現地法人、ヒダクマ(株式会社飛騨の森でクマは踊る)が運営する「FabCafe Hida」に向かいました。

(前回まで)
鎌倉投信の「いい会社訪問」 トビムシ IN 飛騨(その1) 飛騨産業

鎌倉投信の「いい会社訪問」 トビムシ IN 飛騨(その2) オークヴィレッジ

●FabCafe Hida

FabCafe Hidaは、地元名士のお屋敷(熊崎邸)を譲り受け、リノベーションして今年4月にオープンした「デジタルものづくりカフェ」です。築100年超の古民家の土間や蔵を活かした空間に、カフェと、3Dプリンターなど最新設備が設置されたワークスペースがあります。木を知り、楽しむイベントもたくさん開催されています。



FabCafeは、組木に代表される飛騨の古くからの匠の技術と、最新のテクノロジー、世界のクリエイターのアイディアが融合して、新たな価値が生み出される場です。ヒダクマは、ここを拠点に、ものづくりを通じた飛騨の森と地域の再生を目指します。



ヒダクマは、飛騨市とトビムシ、それに渋谷の「FabCafe Tokyo」を運営するロフトワークの共同出資会社です。飛騨市は山林の現物出資も含めて過半を出資していて、本気度が分かります。

(参考)ロフトワークのプレスリリース
飛騨市、トビムシ、ロフトワーク、 官民共同事業体「株式会社 飛騨の森でクマは踊る」を設立

FabCafeでは、トビムシ・竹本さんと、鎌倉投信・新井さんのトークセッションでした。
トビムシの考える地域再生のあり方について、特に「地産地製」と「地域と生態系」という2つのキーワードが印象に残りました。



・「地産地製」による循環
地元の材を、地元の人が購入し、製材、加工し、価値をつけるところまでを一貫して手掛ける=「地産地製」し、そこから生まれた利益をまた山に戻すことで、持続可能な森林と林業の循環が生まれます。訪問した飛騨産業やオークヴィレッジも、ヒダクマも、機能や関わり方は違いますが、この地産地製の一端を担っています。

・地域を生態系ととらえる
自然の生態系では、一つの生物が生き残るには、全体が環境に適応して生き残る必要があります。林業も同じで、例えば間伐だけしても切った木が使われなければ続きません。
トビムシは、西粟倉、飛騨、奥多摩・・・と、各地域ごとに異なる課題に柔軟に向き合って、森林に関わるパーツ(林業、製材、木工・・)の有機的なつながり全体を再生していこうとしています。この、地域やコミュニティを「生態系」ととらえる考え方は、林業はもちろん、地域の課題解決を考えるときにベースになるのではと感じました。

もちろん、外部の第三者が、地域に根付き、地域の人達と一緒に活動できるようになるまでには相当なハードルがあります。今回、ツアーを案内頂いた、トビムシの松本剛さん(ヒダクマの取締役でもあります)は、家族と飛騨古川に移住し、地元や市役所と地道に信頼関係を築き、FabCafeを実現しました。
トビムシのような会社と、単なるヨソモノで終わるコンサルとの違いは、現場に入ってリスクを取る覚悟があるかどうかだと、新井さんもコメントしていました。

写真を撮りまくったので、以下、FabCafeの雰囲気をお伝えします。

カフェスペース。当日も会場に来られていた、飛騨の田中建築さんが地元の材を使って古民家を改装しました。
カフェのみでも十分くつろげる空間です。



資生堂の若手社員さんが合宿研修中で、ブレーンストーミングしていました。FabCafeは、滞在や宿泊にも対応していて、大企業から海外のクリエーターまで、多様な人が集まる交流の場になっています。当日はイスラエルのクリエーターも来ていました。



木工の体験ができるエリア。





木材の加工スペース。



3Dプリンターや、木やプラスチックに直接プリントできるUVプリンターのデモもありました。こっち方面は疎いのですが、相当高価な機器のようです。





UVプリンターで木に直接画像を印刷したサンプル。



レーザーカッター。新しいアイディアを簡単に試作品にすることができます。



FabCafeがきっかけで生まれたプロダクト。オークヴィレッジが製作に関わった、クルミ材のスピーカーです。



名産の桃100%ジュースと、古川の名物井之廣の味噌煎餅を頂きました。桃ジュースは注文してからすり下おろすので、超新鮮&濃厚でした。





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以上、鎌倉投信の「いい会社」訪問 IN 飛騨のレポでした。
日本の森林と林業の課題をかなり身近な問題として感じられましたし、家具の世界もいろんな樹種や工法があって奥深いです。

関西や名古屋からの参加者も多く、夜の懇親会も盛り上がりました。
9月には受益者総会があるので、参加した人たちとの再会も楽しみです。