セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

元・鎌倉投信 新井和宏さんの新会社eumoお披露目会

鎌倉投信を卒業された新井和宏さんが創業した、株式会社eumo(ユーモ)のお披露目&事業説明会が開催されました。

昼の部、関係者の部、夜の部と3部制で400人以上が集まり、新井さんの次の一手、eumoへの関心の高さを感じました。

私は夜の部に参加しました。説明会というよりお祝いパーティな感じでしたが、eumoの目指す社会、事業内容はだいぶ明らかになりました。聞いてきたこと、会社パンフレットから分かることをまとめました。

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eumo(ユーモ)とは

eumo(ユーモ)とは、ギリシア語の "Eudaimonia"(持続的幸福)からとった言葉です。
持続的幸福とは、「自己実現や生きがいを感じることで得られる幸せ」。会社に関わる人たちすべてに生きがいを提供していくとの想いが込められています。

eumoの組織

代表新井さんのほかに、鎌倉投信の投資先でもあるトビムシの竹本吉輝さんと、一般社団法人ユーダイモニア研究所の水野貴之さんが取締役として参画しています。顧問として「幸福学」で知られる慶応大学の前野隆司さんらも入っています。

ユーダイモニア研究所は、人の幸福度や成長の可視化、見える化に取り組んでいる団体です。eumoと密接に連携していくようです。

eumoの事業

eumoは「共感資本社会」の実現を目指します。

共感資本社会とは「共感という、見えない・貨幣換算できない価値を大切に育み、それを基礎(資本)として活動していける社会。」と定義されています。

人と人との関係性やつながり=社会関係資本が価値基準となり、評価され、経済的価値にもつながるような社会です。

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具体的には、以下の3つの事業を柱にします。

1.投資事業

鎌倉投信ではカバーできなかった非上場企業の株式に投資し、地域のいい会社やソーシャルベンチャーを資金面で支えます。いわゆるファンド形式ではなく、自己ポジション(資本金)に基づく出資で行います。

ベンチャーキャピタルのように上場や短期的なキャピタルゲインを狙うのではなく、長期で投資先に伴走するスタイルです。

鎌倉投信の総会でも話があった通り、鎌倉投信の投資先でもあるIKEUCHI ORGANICについて、他のVCが保有していた株式を引き受ける必要があったのが直接的なeumo起業の一つの契機でした。

(参考)鎌倉投信の第9回「結い2101」受益者総会(その3)

2.教育事業

いい会社にはお金だけでなく人が必要です。「eumoアカデミー」という教育プログラムを立ち上げ、持続可能な社会に向けたリーダーを育成します。座学だけでなく、地域で事業を実行できる人材を育てることを視野に入れています。

eumoは、人の成長には横方向と縦方向の2軸があるとしています。横方向は従来型の人材育成が重視していたスキル・技能の向上です。一方、eumoは、縦方向の成長、すなわち心の成長、意識・認識の拡大といった人間力向上を重視します。横=水平的成長はアプリの追加、縦=垂直的成長はOSの更新、という比喩は分かりやすかったです。
この教育事業は、当面eumoの核になる印象を受けました。

3.プラットフォーム事業

人と人のつながり=関係性が価値になる仕組みをプラットフォームとして構築します。分かりにくいですが、このプラットフォーム事業はeumoの事業の中で最も壮大で、従来のお金の価値観や資本主義の仕組みを変えるチャレンジだと感じました。

具体例として「eumoポイント」が説明されました。eumoポイントは、アプリを通じて発行される、eumo独自の広義のトークンであり地域通貨のようなポイントです。

例えば、ある特定の地域(例:飛騨)で、地域活性化に取り組むいい事業者(例:FabCafe hida)で使えるeumoを、共感した人が受け取り、実際に現地で商品やサービスの購入に使う、というイメージです。後述の出資者に対する優待としてeumoを発行することも考えられます。
eumoは、従来の仮想通貨のように利便性を追求したり投機対象となるものではなく、「共感」や「つながり」をかたちにした「関係性に基づくお金」です。

出資を受ける仕組み

eumoの資金調達も、共感資本の考え方を反映したものになります。
詳細ははっきり分かりませんが、議決権のある株式(出資額の大小によらず一人一票の組合方式)と、議決権なしの株式(応援出資)によってお金を集めるとのこと。我々も出資者になれるそうです。

ゆくゆく上場を目指す

創業したばかりのeumoですが、新井さんは、共感資本や関係性に基づく経済圏を大きくするためには上場を目指すと明言しました。

eumoのHPには上場アドバイザリー会社として、すでに沖縄J-Advisorの名前があります。もしかしたら機関投資家向けのTOKYO PRO Marketへの上場を想定しているのかも?しれません。

eumoは始動したばかりで、事業がどう軌道に乗るかはまだ分かりません。教育事業は一定の収益が見込めると思いますが、上場となると、特にプラットフォーム事業をどう大きくしていくかがカギだと思います。

ただ、これからの社会価値の基準が、eumoの価値観である共感や関係性へとシフトしていくのは間違いないと思っているので、この新しい経済圏をつくる大きなチャレンジを純粋に応援していきたいです。出資も関心あります。

今後もオフィスの案内や、eumoアカデミーの説明会が開かれるようです。関心のある方はぜひフォローしてみてください。

【過去記事】
鎌倉投信・新井和宏さんが非上場のソーシャルベンチャー支援会社設立へ