「いい会社の理念経営塾」(NPO法人いい会社をふやしましょう主催)の第4クール、最終回の5回目は、鎌倉投信の投資先に加わった、スノーピークの山井太社長が登壇しました。
スノーピークは、新潟の燕三条に本社のある1958年創業のアウトドアブランド。広大なキャンプ場の中の本社や、「スノーピーカー」と呼ばれるコアなファンの存在で話題の会社です。ひふみ投信も投資しています。
テーマは「好きなことだけ!仕事にする働き方」。
とにかく、熱くて、ワクワクする話でした。数々の「山井語録」をメモしてきました。
・これからは「損得軸」じゃなく「好き嫌い軸」で仕事を選ぶ時代。30年前に入社してからずっと「好き嫌い軸」だけで30年やってきた。
・入社したときに決めたことは、この2つ。30年これだけをやり続けている。
「自分にとってスノーピークを理想のメーカーにする」
「自分がこれから創り出すモノやサービスは、自分が心から欲しいと思うものだけにする」
・自分のミッションは自分で「やる」と決めさえすればできる。
・理念は経営にとって進むべき「真北」の方角を示すもの。理念と行動がブレたら目的地には着けない。1°たりともズレてはいけない。
スノーピークの企業理念(The Snow Peak Way)
・理屈ではない「圧倒的な情熱」が必要。「パッション」が顧客、社員、情報を引き寄せる。
・スノーピークの社会的使命は「人間性の回復」。それをマグマとして派生した様々な事業が「連峰」をかたちづくる。
・燕三条に点在している高い技術を、スノーピークというプラットフォームを通してデザインし、社会的価値=プロダクトに転換し、ユーザーに届ける。
・9,800円の雨漏りするテントしかない時代に、168,000円のテントを売り出したら、そこはブルーオーシャンだった。
・スノーピークのブランド戦略は・・・
「誰」を幸せにするか・・・ハイエンドなアウトドア愛好者
「何」で幸せにするか・・・ハード+ソフト+感性による差別化
「どう」幸せにするか・・・スタッフは全員キャンパー、「スノーピークway」でつながるCtoC(キャンパーtoキャンパー)のシンプルなビジネスモデル
・スノーピークには「イノベーション」という言葉は存在しない。なぜなら毎日新しいことを実行しているから。
・スノーピークのこれから=「連峰化」。
登山、オートキャンプ、アーバンアウトドア、地方創生、障害者雇用、オフィスソリューション、そしてグランピング・・・と「波状創業」していく。
厳冬の十勝で開催されたグランピングイベントの模様が紹介されました。
地元に点在する資源やアクティビティーが、スノーピークがプロデュースするとこんな風に魅力的にデザインされます。
TOKACHI Glamping Monitoring Program Vol.2 (山井さんのFBより)
後半は、ご自身もスノーピーカーであり、鎌倉投信とスノーピークの間をとりもったという、トビムシの竹本吉輝さんも加わってのトークでした。
地方創生、森とキャンプ、循環する林業とオーガニックな工業・・・いろんな切り口で盛り上がりました。
「スノーピーカーの竹本さんがどうしてパタゴニア着てるんですか?」という質問は会場大ウケ。
鎌倉投信・新井さんのまとめは、「ファンに支えられたビジネスは強い」ということ。
コアなファンは、まわりの人にどんどん伝えてくれるし、サービスをよりよくするためのフィードバックもくれます。ファンがタダでマーケティングも商品開発もサポートしてくれるという、ズルいビジネスモデルが成り立ちます。
キャンプ好きの「変態」が「変態」を支えるコミュニティーがスノーピークだ、と山井さんは言っていました。同じように、新井さんも、いい会社好きの「変態」の集まりが鎌倉投信の受益者だとよく言います。
キャンプ未経験者の自分でも、スノーピーカーの気持ちが何となく理解できたのは「変態」だから?
何より、パッションにあふれた山井さんの話には、よっしゃ自分も頑張ろう、と元気をもらえました。
「いい会社の理念経営塾」第4クールは今回で終了。ですが、早速4月から次の第5クールが始まります。
次クールは、テラ・ルネッサンスの鬼丸昌也さん、コモンズ投信の社会起業家フォーラムでも話を聴いた、テーブルクロスの城宝薫さんなど、NPOやソーシャルな分野で活躍する人達が登壇します。