セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

結い2101運用報告会でエフピコの障がい者雇用について学ぶ

鎌倉投信(結い2101)の投資先であるエフピコの特例子会社、ダックス四国社長の且田久雄(かつだひさお)さんの講演を聞いてきました。

~且田社長講演&運用報告会~のご案内 | 鎌倉投信

障がい者雇用に対するイメージが180度変わるお話でした。



エフピコは、食品トレーや容器の製造・リサイクル最大手です。
実は障がい者雇用率の高さでも知られていて、グループ内に国に認定された「特例子会社」や「就労継続支援A型事業所」を多くもち、法定雇用率2%のところ、上場企業ダントツの16%!を誇ります。(2014年3月末の雇用数は372名:CSRレポートより)

(参考)最新「障害者雇用率ランキング」トップ100 | ランキング | 東洋経済オンライン

且田社長は、40年以上障がい者にかかわり、エフピコグループの障がい者雇用を牽引してきました。


●障がい者が利益を生み出している

エフピコの障がい者雇用が他社と違うのは、障がい者が利益を生む戦力として本業で活躍していることです。
且田社長のダックス四国では、なんと60人中45人が障がい者、それも重度の知的障害を持つ人が多いとのこと。

例えば、以前の鎌倉投信の見学ツアー(当時は受益者ではありませんでした)でも話題になっていた、回収トレーの分別作業などは、健常者でも相当の訓練が必要な職人技です。

なかなか言葉では伝わりにくいので、講演でも紹介されていた動画を見つけました。分別作業とはまた別の検品作業です。
みなさんイキイキ働いています。


(高知さんさんテレビ、且田社長も登場します)

食品トレーや容器の分別・検品は、障がい者がエフピコで担っている仕事の一つにすぎず、介護事業所や、お惣菜の製造、医療関係など、知的障がい者が働くのは絶対に無理と思われていた幅広い分野で、多くの人が「ふつうに」働いています。

多くの企業が障がい者を「コスト」ととらえ、法定雇用率を満たすためだけに仕方なく雇用しているのとは考え方が真逆です。

且田さんの言葉を借りると、「障がい者『でも』できる仕事」ではなくて、「障がい者『だから』できる仕事」への発想の転換です。すでに勤続30年の社員さんもいるそうです。

●「無意識の差別」をなくすために

且田さんによると、面接時には奇声を上げる、すぐどこかに行ってしまう、という人たちが、3ヶ月後には仕事を覚え、本業のコアとなるラインで、ふつうに8時間労働ができるようになります。
「うちの子は1時間も持たない」と言っていた親も、実際に我が子が1人前の賃金を稼いでくることに驚くそうです。

知的障がい者は、生まれてから育つ過程で「保護すべきもの」として特別に扱われます。
大人になって働く機会があっても、短時間の仕事や、本業ではない周辺の単純作業(且田社長によれば「どうでもいい仕事」)しか与えられない状況です。

そのような中で、「自分は劣っている」「自分は必要とされていない」という意識が、障がい者に強く根付いてしまうと且田さんは考えます。

エフピコは、どんな重度の知的障がい者でも、正社員として本業の利益にかかわる仕事に配置します。
そこで毎日健常者と同じように働く中で、「自分が必要とされている」「社会の役に立っている」と障がい者自身が知ります。
忘れていた自分の存在意義や、自信、誇りを取り戻すのかもしれません。

むしろ、仕事を覚えてやりがいが出ると、どの社員も会社に行くのが楽しくてしょうがないので、なかなか有給を取ってもらえないのが悩みだそうです。

障がい者を「守ってあげるべき可哀そうな存在」として扱っていることが、私たちの「無意識の差別」であり、この無意識の差別感こそが障がい者雇用問題の本質だと且田さんは言います。
彼らは「支援」を求めているのではなく、「自立」を望んでいる、という言葉は響きました。


●多様性をどう活かすか

生産年齢人口が急激に減っていく日本では、高齢者を支えるために労働力をどう確保していくかが課題です。

かたや、現在の日本では、発達障害や認定されていない知的障害の人たちも含めると、人口の約1割の1,200万人が何らかの障がいを持っていて、且田社長によれば、どんなに少なく見ても、100万人以上の障がい者の潜在労働力があります。

障がい者だけではなく、ニート、ひきこもり、DV被害者、がん患者・・・といった排除されがちな人たちを受け入れ、活躍してもらうことが、多額の税金を移民受け入れにつぎ込むよりも先決ではないかとのお話でした。
そういう意味では、障がい者雇用は、国の行く末そのものにもかかわる課題です。

人材多様性の活かし方のヒントが詰まった講演会でした。


鎌倉投信では、投資先企業の取り組みを知ることのできるイベントを企画してくれるので、自分の視野を広げるのにも役立ちます。

3月には、日本最大級の物流施設、ヤマトホールディングスの「羽田クロノゲート」の見学会に申し込みました。
これは本業的にも楽しみです。

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