セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

鎌倉投信の「いい会社訪問」日本環境設計&IKEUCHI ORGANIC in 愛媛 参加レポ(その2)

11/2の鎌倉投信「いい会社訪問in愛媛」のレポ後半です。

前半はこちら。

今治の日本環境設計工場訪問のあと、クック・チャムの運営する新居浜の「ばぁばのお昼ごはん」にてランチ、そこから今治に戻ってIKEUCHI ORGANIC本社工場を見学しました。



クック・チャムの「ばぁばのお昼ごはん」

クック・チャムは、愛媛・新居浜に本社があり、手作りのお惣菜チェーン「おかずのお店」を運営しています。
東京だとあまり馴染みがないですが、西日本中心に約70店舗以上あり、知らなかったのですが、東京にも洗足や武蔵小山にお店があります。



同社は、鎌倉投信の投資先企業エフピコの取引先でもあり、障がい者雇用に力を入れています。
北海道・十勝の芽室町では、エフピコの特例子会社ダックス四国、町役場とコラボして、「九神ファームめむろ」を立ち上げ、障がい者雇用の先進事例となっています。
(参考)
九神ファームめむろ 
プロジェクトめむろ 

先日の鎌倉投信の受益者総会でも、社会的リターンを数値化する、SROI(社会的投資利益率)のケーススタディとして紹介されました。

ばぁばのお昼ごはん」は、クック・チャムの店舗に併設された食堂です。
クック・チャムの工場に勤務する障がい者の人達が、お昼の時間はこちらで働いているそうです。私たち一人ひとりに声をかけ、みなさん生き生き仕事をしていました。

今回は鎌倉投信のツアーのために貸切営業で、おかず盛り合わせの特別メニューを頂きました。
一杯一杯食べる直前に味噌を入れる豚汁で、約40人一人ひとりに配膳してくれたので、全員に行きわたるには時間がかかりましたが、手作り感が詰まっていてとても美味しかったです。

IKEUCHI ORGANIC本社工場訪問

午後は、新居浜から再び今治に戻り、IKEUCHI ORGANICの本社工場へ。
見学時間が限られているということで、実は、今治から新居浜の往復の車中で、参加者からの質問に答えるかたちで池内社長のトークがたっぷりありました。

創業60周年を機に、池内タオルから「IKEUCHI ORGANIC株式会社」へと社名変更した経緯、「最大限の安全と最小限の環境負荷」という理念、オーガニックコットンの成り立ちなど、事業のベースの部分を改めて聞けました。

最近のトピックは、繊維製品メーカーなのに食品安全のISOであるISO22000にトライしていることです。「乳幼児が食べてもいいタオル」を目指す取り組みでもあり、同時に、原産地から最終製品までのトレーサビリティ確立の一環でもあるそうです。

なるほどと思ったのは、「安全」の考え方です。
安全と一口にいっても、「生物学的安全」(遺伝子組み換えでない)、「化学的安全」(エコテックス認証クラス1取得)、「物理学的安全」(製造過程に異物混入させない)と多面性があります。

例えば物理学的安全(ex.工場に虫を一切入れない)を追求すれば、化学的安全がおろそかになる(ex 大量の消毒が必要)など、一つの安全が別の安全と両立しなかったりしますが、池内社長は、これらを同時に追求しています。

初代プリウスにまだ乗り続けている?とか、ペットボトルは年間3本までしか使わない?とか、・・とことん「こだわる」のが池内社長のお人柄です。
鎌倉投信(新井さん)が魅かれたのも、この「こだわり」の部分だといいます。

などと車中でプレセミナーをやりつつ、本社工場に到着。



冒頭、池内社長より、最近の新商品(産着など)への取り組みや、綿の原産地タンザニアで収穫されたばかりの、「コットン・ヌーボー2016」の最新情報についてご紹介。




本社工場にはショップもあります。




本社工場は、今まさに審査中のISO22000への対応のため、一般エリア、セミクリーンエリア、クリーンエリアと、工場内が区画分けされていました。自分も帽子とシューズカバーを付けて入りました。

オーガニックタオルができるまでの工程は、オフィシャルサイトのこちらが分かりやすいです。
(参考)タオルができるまで

このうち、今治の本社工場では、別の工場で加工された糸を仕入れた後の、実際に生地を織機で織る工程(整経、整織)と、最後の検品、出荷を行っています。



織機1台で、バスタオルは150枚分、フェイスタオルで450枚分織れるとのこと。
織られた生地は100kg単位でまとめられ、西条市の染色工場「インターワークス」に送られ、そこで染色、縫製、裁断等の加工作業が行われた後、また今治本社に戻ってきて、検品、出荷となります。





ISO22000の関係で、見学時間は作業を止めていましたので、実際に織機が動いているところや、職人さんの仕事ぶりは見られなかったのは少し残念でした。

去年のツアーに参加されたエムアットさんの記事が詳しいです。
鎌倉投信いい会社訪問ツアーに参加しました(IKEUCHI ORGANIC編)

ちなみに、輸入した原糸をより合わせる撚糸加工、オゾン漂白など、生地を織る前の工程は、午前中に行った大和染工さんに委託されています。

こうやって見ると、原糸が輸入された後、国内の製造工程にも、複数の組織が関わっています。安全追求と環境負荷低減は、サプライチェーン全体の取り組みで成り立っていると分かりました。


カッコいいステートメント。「オーガニックな会社は言い訳しない」


(参考)IKEUCHI ORGANICのコットンヌーボーが、2015年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
コットンヌーボーが2015年度グッドデザイン賞を受賞

IKEUCHI ORGANICには最近よくお邪魔しています。
鎌倉投信の受益者総会の翌日の京都ストアでのイベント(9/6)、この記事の本社訪問(11/2)、さらに、実は、今週(11/5)も、南青山・東京ストアでの鎌倉投信新井さんと池内社長のセッションにも参加してきました。定番のオーガニック120のバスタオルを買ってきました。

感想

遠方の「いい会社訪問」は初参加でした。
鎌倉投信を通じて、こうした「いい会社」やその経営者の方々とつながりを持てたのはとても良かったと思います。

新井さんが改めて言っていたのは、経営者、社員、取引先、そしてファンド、投資家が、同じ方向に向かって、同じ価値観を共有しているのが「いい会社」だということです。
池内社長も、オーガニックな商品の提供を通じて、人と人との「オーガニックな関係」を作りたいと言われていました。これは新井さんの「いい会社」論と基本的に同じことだと思います。

会社を取り巻くステークホルダーが、対立関係ではない「有機的な」関係を築けば、社会全体にとってもプラスでしょう。
一個人投資家として、そういう関係性の中で投資を続けたいなと強く感じたツアーでした。

「いい会社訪問」は、投資先との距離がグッと縮まります。受益者の方はチャンスがあれば参加されてはいかがでしょうか。