セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

「ブラックロック・インパクト株式ファンド」のモーニングスターセミナー

11月10日に、ブラックロックの新ファンド「ブラックロック・インパクト株式ファンド」のセミナー(モーニングスター主催)に参加しました。

モーニングスターセミナー 投資の新潮流『インパクト投資』

インパクト投資を切り口にしたアクティブファンドで、自分も先日お試し購入しました。

本ファンドが掲げる「インパクト投資戦略」は、「社会に影響(=持続的な社会的インパクト)を与えることを目指す企業に着目し、同時に投資収益を追求する」というものです。

ただ、実際に話を聞くと、社会的インパクト投資と言うよりは、通常の銘柄選定要素にESG的要素を入れたファンドかなと思いました。

実際の銘柄選定は、「健康」「環境」「経営姿勢」などの項目でポイントの高い企業、かつ株価のバリュエーションから魅力的な企業を組み入れます。
(例)
「健康」:WHOのデータから、生存率の高い(効き目の良い)薬を作っている製薬会社
「環境」:特許申請のデータから、革新的な技術を生み出せる企業
「経営姿勢」:ES(従業員満足度)調査データでポイントの高い会社

これらは、広い意味では社会的な課題と言えるかもしれませんが、説明を聞く限り、通常の銘柄選定基準に、流行りの「インパクト投資」という言葉を乗っけているだけの感じがしました。

従来と違う非財務的要素、ESG的視点から企業を選びます、というのは賛同しますが、投資先の株価ではない社会的なリターンを追求する明確な「意図」「意思」があるかどうかというインパクト投資の定義からはずれます。

インパクト投資は、公的セクターを補完し、貧困問題や途上国の課題などに取り組む社会的企業、ソーシャルビジネスへの投資という性格が強いので、もともと、当ファンドのような上場企業への純粋な株式投資はそぐわない面があります。

素朴に、実際の運用担当者の話しぶりからも、「ソーシャルインパクト」に対する思い入れはあまり伝わってきませんでした。
どちらかというと、「こういう分野は今後儲かるはずだから先に唾をつけておこう」的なノリでした。

もちろん、これらのESG要素がゆくゆく注目されて、株価に反映されれば、ファンドとしてのリターンは上がるかもしれません。
先進国株式を対象とした、個人向けのESGファンド的な切り口のファンドとして見れば、信託報酬も1%を切っていてネット証券でも買えるので、まずまず面白いと思います。

アメリカ本国の運用チームが中心になって、外部機関のES調査結果など、簡単に入手できないデータも活用するそうですし、ファンド名はともかくとして、ブラックロックのやる気は感じられました。