竹川美奈子さんの新著、「臆病な人でもうまくいく投資法」が発売されました。サブタイトルは「お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話」。
投資信託でじっくりゆったり長期投資を続ける人達の、リアルな「コツコツ投資ストーリー」を通して、「ふつうの人」のお金との付き合い方を提案している本です。
私もお声がけ頂き、11人のひとりとして載せていただきました。
ふつうの人でもできるコツコツ投資
コツコツ投資って何?という前に、コツコツ投資の対極にあるのは、こんな「投資」です。
『日々為替の動向を追いかけたり、将来有望な銘柄を発掘したり、複雑な金融商品について調べたりする。そして、これから「何が上がるの?」「何を買ったら儲かるの?」ということを四六時中考えて、短期で売り買いする』
(p28より)
これも立派な投資ですし、こういったやり方で実際に利益を上げている人もいます。
私も昔はこういった投資をいろいろかじりましたが、仕事や家事をしながら、こんな「投資」を続けるのはなかなか難しいことです。しかも、時間をかけて頑張ったからといって、お金が増える保証はありません。
本業のある「ふつうの人」が将来に向けてお金を育てるには、竹川さんの書いているとおり、
・しっかり働く(=本業で稼ぐ)
・支出を抑える(=ムダを省く)
・貯蓄+投資をする
の3つのバランスがとても大事です。
そこで、本書では、生活の一部としてゆったりお金を育てていける「コツコツ投資」を提案しています。
コツコツ投資とは、インデックスファンドなど、少額からできる「投資信託」をメインに、ゆったり「長期」で世界中に「分散投資」する方法です。
「コツコツ投資」も十人十色
第2章以降で、20代~50代の現役世代、子育て世代の11人の「コツコツ投資」を実践する人達が登場します。
第2章はインデックスファンド、第3章はバランスファンド、第5章は個別株やアクティブファンドをメインで使っているコツコツ投資家さんです。第4章では、私も利用している確定拠出年金(DC)の活用方法が出てきます。
「コツコツ投資」といっても、やり方は十人十色です。
厳密にこれでなければいけない、というものはありません。
資産配分、リスク資産の割合、具体的な商品選びは、年齢、収入、家族構成、持家か賃貸か、ひいてはリスク許容度、性格や価値観次第で違ってくるので、自分なりのやり方を見つける必要があります。
11人は、みんな何らかのきっかけで投資を始めたものの、迷いや試行錯誤を経て・・・自分なりの「コツコツ投資」スタイルに行きついています。過程は人それぞれ、とてもリアルで面白いです。
みんなプロの投資家ではないので、お金に対する考え方の中に、なるほどとうなずける部分があると思います。
また、やり方も初めからガチガチに決めなくてもいいことも分かります。
11人の「投資遍歴」と、具体的な投資の考え方や商品の解説が連動してバランスよく書かれていて、すんなり入ってくるのもこの本の素晴らしいところです。
自分も掲載頂きました
第5章で、アクティブファンドも取り入れているコツコツ投資家として取り上げてもらいました。
・20代の頃、ギャンブル感覚で個別株やREITを買っていた頃から、リーマンショックを経て、コツコツ分散投資に行きついた話
・はじめはインデックスファンドメインだったのが、鎌倉投信などもきっかけに徐々にアクティブファンドや、ソーシャルな方面に関心が移っていったこと
・・・などなど、まさに「お金の履歴書」で我ながら面白いです。
社会的責任投資や、ソーシャルファイナンスについても書いてあります。
紆余曲折があって面倒だったと思うのですが、竹川さんには、ブログの内容も織り交ぜて分かりやすくまとめてもらってとても感謝です。
「生活者」のためのお金と投資の本
投資本というと、「何が儲かるか」「どうやったら儲かるか」という本ばかりの中、「コツコツ投資」をテーマに、しかも一般の人の実例を通して紹介した本は異色です。
そして、この本に登場する人達は、「投資家」というよりは「生活者」という方が近いです。
「個人投資家」というワードから、ギラギラ感を連想する人がいるとしたら、きっとそのイメージは変わるでしょうし、これだったら投資を生活の中に取り入れられるかも、と感じられるのではないでしょうか。
分散投資や積立投資の基本も解説されていますので、未経験の方でも読めます。専門用語は説明があるし、難しい数字なども出てきません。
将来のために、節約や貯金だけでなく、コツコツ投資というお金との付き合い方を考えるきっかけに、ぜひ手にとって頂きたいです。