5/26に東証ホールで開始された、PwCあらた監査法人主催のサステナブル投資に関するシンポジウムに参加しました。
平日の昼間で、プロ向けの内容でしたが、サステナブル投資に関するメジャープレイヤーが揃い、最新の動向が聞けました。
PwC Sustainability Seminar「サステナブル投資の主流化に向けた潮流と今後」 | PwC Japan
参加企業は、JBIC、IFC(国際金融公社)、PGGM(オランダの年金運用機関)、トリオドス銀行(オランダのソーシャルバンク)、ゴールドマンサックス、ブラックロック、KKRジャパン、DWMアセットマネジメント、それに主催者のPwCグループです。
一番興味深かったのは、JBIC、IFCなどの開発金融機関と、ゴールドマンサックス、ブラックロック、KKRなど民間の運用会社が同席して「サステナブル投資」を議論したことです。(冒頭挨拶は日本財団の方でした)
ここ数年でサステナブルな投資が急速に拡大したというのが参加者の共通認識です。理由はPRI(国連投資原則)などを背景に、年金などの投資家や、ステークホルダーの圧力が強まっているのが大きいです。
環境や社会に配慮したサステナブルな投資は、もともとリターン向上よりも、リスクの軽減目的という面が大きかったようです。
ただ、最近では、決して経済的なリターンを犠牲にするものではなく、むしろ長期的には市場全体のパイを広げ、経済的なリターンも高めるものだ、という考え方が広まりつつあります。
IFCのインクルーシブビジネスに対する投融資が、一般の案件より高いリターンを挙げていたり、ESGが財務リターンに対して少なくともマイナスではないことを示すデータが示されるなど、成果が実証されているのも大きいです。
あるパネリストは、『「ESG投資」というワードは近い将来なくなる。なぜならESGを考慮するのはどんな投資でも当たり前になるからだ」』とも言っていました。
一方で、複数の参加者が挙げた課題は、特に社会性寄りのインパクト投資における「インパクト評価の精緻化」です。ソーシャルインパクトボンド(SIB)の話題も出ましたが、経済的ではないリターンをどう客観的に測るのかは常に問題になります。
また、サステナブル投資の普及拡大のためには、個人投資家も含む多様な投資家がアクセスできる受け皿としての商品も必要です。
実際、自分のような個人がサステナブル投資をしたくても、具体的な金融商品(投資信託や債券)は限られています。その部分は発展を望みます。
例えば、市民の預金を集め、社会的企業や社会貢献型の事業にのみ融資する、トリオドス銀行のようなソーシャルバンクがあったなら、日本でももっと新しいお金の流れが生まれると思います。