セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信が「フィデューシャリー宣言」の取り組み状況を公表

セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」を毎月積み立てています。同ファンドは、個人のポートフォリオの中で、外国株式クラスのコアになっています。

そのセゾン投信が、12/22に、去年の8月に公表した「フィデューシャリー宣言」のその後の取り組み状況について発表しました。

==== 「フィデューシャリー宣言」は、金融庁が示したフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)をセゾン投信として明文化したもので、以下の4つの大項目からなります。

1.長期資産形成
2.利益相反行為の回避
3.報酬等の合理性
4.遵守態勢


フィデューシャリー宣言|投資信託・積立投資ならセゾン投信




中野さんがセミナーでもよく口にしますが、セゾン投信では、フィデューシャリー・デューティーを一般的な「受託者責任」ではなく、「お客様への忠実義務」と訳します。

したがって、この宣言は「運用会社として100%顧客のためだけに行動する」という、セゾン投信の理念が具体的な行動指針として落とし込まれたものになっています。
セゾン投信の社員が、仕事をする中で迷った時は、このフィデュ―シャリー宣言に立ち返り、「顧客のためになるか?」と考えることになります。それだけ重たい宣言です。


一方、理念や行動指針は、ただ定めるだけではなく、実際にどれだけ実行されているか、常にチェックする必要があります。宣言から1年ちょっと経過し、今回、第1回の取り組み報告として開示されました。

当社フィデューシャリー宣言についての考え方と取り組み状況に関するご報告(PDF)

報告の中で、目にとまった項目をご紹介します。

1.長期資産形成
・長期投資や積立投資の理念を共有した結果、セゾン投信の積立投資比率は約70%。
・投資教育への注力。年間130回のセミナー開催、70回の大学やFP協会でのセミナー参加。
→ 数字で説明していて分かりやすいです。

2.利益相反行為の回避
・楽天証券の個人型確定拠出年金(iDeco)でセゾン投信の2本のファンドを取り扱うことになった。楽天証券は販売委託先としてセゾン投信のフィデュ―シャリー宣言の内容に同意している。
→ どこまでどういう同意がされたのかも知りたいですね(販売委託の契約の中に記載されているなど)。

3.報酬の合理性
・信託報酬率の合理性や適正性については、定期的にフィデュ―シャリー委員会で協議し、内容について公表していく。基本的には「適正な経営経費+資本コスト」が基準。
→ 私は資産形成の達人ファンドのみ保有していますが、もう一方のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドについては、インデックスファンドやバランスファンドの低コスト化で競争力が弱まっているという意見もあります。信託報酬の根拠を示すのはなかなか大変だとは思いますが。。

・役職員の講師料、印税、原稿料などは全て個人収入ではなく会社の収益としている。
→ これは単純にそうなんだ、と思いました。

4.遵守態勢
・社長を委員長、各部部長をメンバーとするフィデューシャリー委員会を設置し毎月協議。
→ 外部の委員を入れる予定はないのか気になりました。この分野で頑張っている三井住友アセットマネジメントは、外部委員を入れた第三者委員会を設置し、協議の内容を開示しています。


今回の報告は、「宣言」の各項目を、具体的な業務内容をふまえて補足した位置づけにもなっていて、セゾン投信の考え方がより詳しく理解できます。
セゾン投信に口座を持っているけど、まだ「フィデューシャリー宣言」を読んでいない方は、ぜひ目を通してみてください。

銀行や証券会社など大手金融機関も、「フィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」などを開示していますが、何となくそれっぽい言葉を並べた、金融庁の手前とりあえずやっているであろうものがほとんどで、セゾン投信レベルまで言い切っている会社は少ないです。(言い切れないし言い切る気もない)

一方、当初から話題になりましたが、中野さんが言う「大手系列」の中では、三井住友アセットマネジメントがかなり詳細で具体的です。独立系ではないため運用会社のガバナンスについても検討されていたり、アクションプランの実施状況をフィードバックしているなど、見比べてみても面白いです。

フィデューシャリー・デューティー宣言/会社情報 - 三井住友アセットマネジメント