セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

鎌倉投信・「いい会社の経営者講演」日本環境設計株式会社 岩元美智彦さん

日本環境設計の岩元美智彦さんの熱い話を、久々に聴いてきました。

【東京開催】「いい会社の経営者講演」 日本環境設計株式会社 岩元会長

岩元さんは、全く新しい消費者参加型のリサイクルの仕組みをつくり、アショカ・フェロー日経ビジネスの次代を創る100人、その他数々のアワードに選ばれている起業家です。

バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンをお台場で走らせた、と言えば知っている人も多いでしょう。

「FUKU-FUKU×BTTF GO!デロリアン走行プロジェクト」に行ってきた (2015.10.23)

「いい会社訪問」では、今治のリサイクルプラントに訪問し、実際に綿のTシャツがバイオエタノールに生まれ変わる様子を見学しました。

鎌倉投信の「いい会社訪問」日本環境設計&IKEUCHI ORGANIC in 愛媛 参加レポ(その1)(2015.11.06)


●技術よりも大事なのは「仕組み」

岩元さんは、循環型社会を実現するのに必要な3つの要素は、「技術」と「消費者参加型の仕組み」、そして「エンターテインメント」だと言います。これは同社の中核となる考え方です。

日本環境設計は、衣類のリサイクルの分野で、綿の糖化技術や、ポリエステルを劣化させず再生する革新的な技術を生み出しました。しかし、いくら優れた技術があっても、起点となる消費者や、小売、メーカーの参加なしにはリサイクルの循環はまわりません。

今や、イオン、良品計画、スタバはじめ、名だたる企業150社が、業種の垣根を超えて「FUKU-FUKUプロジェクト」(衣類のリサイクル)、「PLA-PLUSプロジェクト」(プラスチックのリサイクル)に参加しています。(「BRINGプロジェクト」になる予定)

スクリーンの中のデロリアンを、ごみからできた燃料で本当に走らせてしまったように、みんなが「ワクワク」参加したくなるアイディアを次々生み出し、消費者と企業を循環の輪の中に巻き込んでいく力は本当に凄い会社です。


●経済と環境を両立する秀逸なビジネスモデル

日本環境設計のモデルが凄いのは、回収費用を企業側が負担=回収ボックスを企業に購入させていること。

日本環境設計は、家族みんなで参加したくなるような楽しめる環境イベントをたくさん企画し、衣類やプラスチック製品を回収しています。

参加する企業側とすると、来店数アップは売上増につながるので、回収ボックスを購入しても費用対効果でメリットがあります。このあたりは、回収ボックスの費用を絶妙に設定しているようです。
すべて、消費者が「楽しく参加できる」ことが仕組みの起点になっています。

いったんデファクトになってしまえば、他の小売企業も、独自でシステムを構築するより安上がりですし、競合他社との関係上参加せざるを得なくなります。そうしてシェアが上がり一層コストが下がっていく好循環が生まれます。みんなが参加すればするほど、システム全体が効率的になり、リサイクル製品の価格競争力も高まるうまい仕組みです。

環境のベンチャーなのに創業以来10年ずっと黒字、なのは驚異です。


●岩元さんの実行力

何のつてもないのに、ハリウッドを説得してデロリアンを購入してしまった話はじめ、岩元さんの卓越した実行力を表すエピソードには事欠きません。現在の提携企業150社もほぼ「飛び込み」だそうですし、鎌倉投信の新井さんも「有言実行力は経営者の中でも群を抜いている」と評します。

岩元さんは、どんなにムチャに思えることも、「こんな素晴らしい未来のために一緒にやろう!」と相手を口説き落としてしまうパワーを持っている方です。もちろん、ただ熱意100%ではなく、緻密なビジネスモデルがあるからこそです。

FBを拝見していても、スケールのデカいニュースが次々舞い込んでくるので、もう並大抵の事では驚かなくなったぐらいです。


●日本環境設計の今後

岩元さんは、次の10年、20年を見据えて、一緒に創業した一回り以上若い高尾さんに社長を引き継ぎました。今は、海外の有名企業とも次々パートナーシップを結んでいるとのこと。

北九州のリサイクルプラントは今建設中で、ポリエステルのリサイクル体制が大きく拡大する見込みです。

そして、2020年に向けて、使用済のガラケーやスマホから回収した都市鉱山で、東京オリンピック・パラリンピックのメダルをつくる取り組みも始動しています。これも、市民参加型のワクワク・ドキドキするプロジェクトの一つです。
「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」について

新井さんの言うとおり、日本環境設計は**業、という枠をすっかり超えています。回収からリサイクル、小売まで循環の全てのプロセスに関わる、地上資源循環型社会プロデュース企業だと感じました。

一昨年のエコ・プロダクツ2015でデロリアンに座らせてもらってから1年半、すごいスピードで成長していて、10年後どうなってしまうのか想像もできません。

そして、岩元さんの事業の根本にある、リサイクルによって平和をつくるという理念には共感します。地上の資源を活用すれば、地下資源の奪い合いによる争いもなくなります。
岩元さんは、私も個人的に関わっている、テラ・ルネッサンスの支援者のお一人でもあります。

全く別の世界に生きていますが、岩元さんの話を聞くたび、自分ももっと頑張らねば、と思います。
消費者&鎌倉投信経由のサポーターのひとりとして、応援&参加していきます。