セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

コモンズ投信・コモンズ30塾で味の素の統合報告書(ASVレポート)を読む

コモンズ30ファンドの投資先、味の素の統合報告書を読み解く会に参加しました。

味の素といえば、GPIFの「優れた統合報告書」にも選ばれるなど、毎年質の高いレポートを出しています。今年から、ASVレポートと名前を変え、さらに進化しました。
ASV=Ajinomoto Group Shared Value

同社からIRのご担当者、ASVレポート作成に携わった社員さんがご参加。
・味の素の企業概要、重点事業、企業価値向上の取り組み
・ASVレポート作成の苦労話
などをリアルにお聞きしました。

また、コモンズ投信の伊井さんと、アナリストの末山さんを交えて、質疑応答のトークセッションがありました。末山さんから、E(温室効果ガス削減)、S(従業員エンゲージメント)、G(指名委員会等設置会社への移行)と、ESGの実行度も高いとの指摘がありました。多様なステークホルダーが参画する「サステナビリティ諮問会議」も先進的と思います。

その上で、参加者のグループワーク形式で、ASVレポートについての感想や意見を出し合いました。当日は、法政大学の学生さんが多く参加しており、
「レポートに若い人があまり登場していない、もっと若い人に読んでもらう視点が必要では?」という問題提起があり、なるほど、と感じました。たしかに、採用向け資料でもない限り、大企業のIR資料は基本的にオジサン以上が多いですよね。投資家目線ではない意見は、会社側的にもとても参考になったようです。

統合レポートは一義的には投資家向けですが、企業に関わる全てのステークホルダーに対して、会社のパーパスと価値創造のストーリーを伝える大事なツールだと思います。「誰を」意識して、「どのように」伝えるか、作り手の意思が問われます。かといって、何でもかんでも載せればいいわけでもないので、とても大変だと思いますが。。今回のように、レポートの作り手である企業と、受け手である運用会社、受益者(あるいは株主)が一同に会して意見を交わすのは、双方にとって貴重な場だと感じました。

 

私個人としてはこんな感想をワークシートに書きました。

・無形資産とROICツリーの関係性(木のイラスト)は分かりやすい。
・企業価値の算定式に「スピードアップ、スケールアップ」を加えたのは藤江社長の意志を感じる。
・ASVを現場の個人レベルまでどう浸透させているか(ASVの自分ゴト化)、分かりやすい。
・従業員エンゲージメントの向上と業績、財務価値のつながりは今後も実証を続けてほしい。
※レポートでは、従業員のやりがいと、売上高や事業利益との相関が示されています。エンゲージメントスコアは、2025年までの中計のKPIに含まれています。また、役員報酬にも反映されています。
・海外展開が多い会社なので、ダイバーシティの記載はもっと多くてもよいのでは?
・財務面では、セグメント別のROIC、WACCを明示しているのがいい。

私はコモンズ30ファンドなど投信経由での投資のみで、株主ではありませんが、会社の理解が深まりました。

他の会社の統合報告書を読むうえでも、味の素のASVレポートはひとつのベンチマークになりますね。