コモンズ投信のコモンズ30塾に参加しました。投資先であるダイキン工業のサステナビリティレポートについて意見交換するワークショップです。企業、受益者との対話を大事にするコモンズ投信ならではのイベントでした。
コモンズ30塾【企業との対話】 ~サスティナビリティレポートを読み解くワークショップをダイキン工業と11月26日(火)に開催~
人を基軸におく経営
ダイキン工業より、IRの山田香織さんが登壇。会社の沿革、理念、主要ビジネスである空調事業についてご説明がありました。ダイキンは約150ヶ国で事業展開し、海外売上比率が7割を超えるグローバル企業です。創業以来、「人に基軸をおく経営」を理念に掲げています。
「人の持つ無限の可能性」を信じ、「企業の競争力の源泉はそこで働く『人』の力である」、「従業員一人ひとりの成長の総和が企業の発展の基盤である」という信念のもと、働く人の意欲と納得性を引き出し、一人ひとりが自らの個性を磨き高め、能力を最大限に発揮して、成長することによって、組織としての力を徹底して高めていこうとする考え方です。
(人を基軸におく経営 | ダイキンについて)
アナリストの末山さんからも、技術力だけでなく、営業力や、「人」を重視する企業文化を評価しているとコメントがありました。ダイキン工業は、コモンズ30ファンドが当初から10年以上保有している投資先でもあります。株価成長の面でもファンドに大きく貢献している企業の1社です。
ダイキン工業のサステナビリティレポート
ダイキン工業は、まだ統合報告書は発行しておらず、主に財務面のアニュアルレポートと、非財務面のサステナビリティレポートの2本立てです。サステナビリティレポートは、主に投資家以外のステークホルダーに対して、持続可能な社会に向けた企業の取り組みを示したものです。
企業とステークホルダー双方にとっての重要性(マテリアリティ)の観点から整理した「価値提供のCSR」4項目と、事業のベースとなる「基盤的CSR」5項目にまとめ、取り組み内容やKPI(指標)、各種データが記載されています。ESG評価上も重要なレポートです。かつては「CSRレポート」と言っていました。
詳しくはこちら。
サステナビリティレポート|CSR・環境|ダイキン工業株式会社
グループディスカッションでは、参加者から「全体としてよくできていて分かりやすい」、「トップメッセージも具体的で真剣さを感じる」、という意見の一方で、「メインのターゲットが誰なのか分かりにくい」、「総花的でメリハリにかける」、「人を基軸におく経営を掲げているわりには人材やダイバーシティに関する部分が弱い」などの意見も出ました。
個人的には、レポートの「CSRテーマ」はむしろ「ESG課題」と置き換えた方が分かりやすいと思いました。
ただ、ダイキンの場合、より詳しい情報をのせたWeb版も掲載されていて、Web版を見るとかなり理解が進みました。
所感
財務諸表はあくまで過去の活動の結果です。企業が今後も社会と調和して持続的に成長できるのか判断するには、B/S、P/Lに現れない非財務情報を読み解くことが欠かせません。個人投資家も、投資先の統合報告書やサステナビリティレポートをもっと読み込むことで、企業に対する理解を深めると同時に、企業間の比較もしやすくなると感じました。
ダイキン工業は、統合報告を目指す途上の試行錯誤段階にあります。多様なステークホルダーにとって有用な開示はどうあるべきか、企業側の苦労話も聞けて勉強になりました。他社のレポートももっと読もうと思いましたし、また参加したいです。