セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

いいアクティブファンド選びのために~アクティブシェアを知る「プレミアム・アクティブ投信勉強会」(コモンズ投信 × スパークスAM × レオス・キャピタルワークス)

アクティブ運用を手がける3社(コモンズ、スパークス、レオス)の共催セミナーに参加しました。

アクティブファンドの中には、インデックスと大差ないポートフォリオで手数料だけ高い、なんちゃってアクティブ(=隠れパッシブ)も多くあります。
そうした「隠れパッシブ」ではない、真にアクティブな投資信託を見極める指標の一つ「アクティブシェア」を学ぶ勉強会でした。

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 「アクティブファンド」といってもいろいろ

アクティブファンドはインデックスに手数料分だけ負ける、という理解が一般的です。世間の「アクティブファンドを名乗っているファンド」の平均と、インデックスを比べれば確かにその通りです。

しかし、「アクティブファンドを名乗っているファンド」の中には、決して「アクティブ」とは言えないファンドが多く混じっています。

アクティブかそうでないかを判断する指標が、「アクティブシェア」です。アクティブシェアからファンドを見ると、少し違った景色が見えてきます。

アクティブシェアとは

アクティブシェアの定義はこちらです。これ以外の式もありますが、当日配布のスパークスさんの資料より転載しています。

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難しい数式はさておき、簡単に言うと、アクティブシェアとは、あるポートフォリオのベンチマークからの乖離度を示す指標です。数字が高い方がベンチマークとより異なるポートフォリオということになります。

アクティブシェア100%
 ⇒ ベンチマークと同一の銘柄が一つも含まれないポートフォリオ

アクティブシェア0%
 ⇒ ベンチマークと銘柄・
ウェイトが完全に同一のポートフォリオ
です。

ハイリーアクティブと隠れパッシブの例

アクティブシェアの高い(ベンチマークとの差が大きい)ファンドの例です。ベンチマークをTOPIXとして考えると分かりやすいでしょう。

・中小型株に投資するファンド
・少数銘柄に集中投資、厳選投資するファンド

逆に、アクティブシェアが非常に低い「隠れパッシブ」とは、ほぼベンチマークの抜粋コピーのような構成で、ごく一部の銘柄をオーバーウェイト、アンダーウェイトしているファンドです。「信託報酬は高いのにTOPIXとほぼ一緒」というやつです。

アクティブシェアとリターンの関係(米国での実証)

2009年の米国のある論文で、高アクティブシェアのファンドと低いファンドの平均リターンを比較したところ、アクティブシェア上位20%のグループは、コスト控除後でもベンチマークを上回るという実証結果が出されました。(1990年~2003年のデータ)

アクティブシェアが高いから100%いいわけではなく、ハイリーアクティブな中にもいいファンド、悪いファンドがありますが、「アクティブシェアの高いファンドは、平均でもコスト控除後でインデックスに勝っている」のがポイントです。

この論文以降、米国では、アクティブはパッシブに勝てるか?という議論は減り、むしろ「隠れパッシブをどう見つけるか?」に主題が移ったとのこと。

隠れパッシブを見分ける簡便法

ファンドの組入銘柄上位10社を、ベンチマークの上位10社と比較するのが簡単で分かりやすい方法です。

アクティブシェアの高いファンドは、ベンチマーク構成銘柄と上位銘柄が大きく異なります。一方、「隠れパッシブ」は、10銘柄中7~8つが一緒で、しかも組入順位も同じだったりするので、パッと見ればすぐ当たりがつきます。

対ベンチマーク運用の普及による隠れパッシブ化

90年代後半頃から、米国ではパッシブ運用の普及と金融工学の発展により、対ベンチマーク比較が過度に重視されるようになりました。また、インフォメーションレシオに基づくファンド評価の広がりにより、ベンチマークとの乖離(トラッキングエラー)をできるだけ小さくしようとする運用が主流となり、投資家のプレッシャーもあって、とにかく「指数に負けにくい運用」を追求する隠れパッシブファンドが増えていきました

しかし、ポートフォリオがインデックスに近づけば、超過リターンが取りにくいので、さらにパッシブ化していく、という悪循環に陥りました。

近年ではこの隠れパッシブ化のデメリットが認識され、ベンチマークを意識しないアクティブシェアの高いファンドも盛り返してきています。

独立系3社よりコメント

以上の議論を踏まえつつ、運用理念とアクティブ運用プロセスについて各社より説明がありました。

なお、各社のファンドのアクティブシェア(8月末現在、対TOPIX)は次のとおりです。60%以上が目安と言われる中、どれも大幅に上回っています。

ひふみ投信:93.9%
コモンズ30ファンド:88.6%
ビッグウェイブ21(スパークス):83.9%

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スパークス・アセット・マネジメント
  1. 事業価値に投資(株価への投資ではない)
  2. 追随せず集中
  3. 十分な安全余裕度(安い価格)で買う
コモンズ投信(コモンズ30ファンド)
  1. 長期集中投資が生むリターンに着目
  2. 対話による企業価値向上
  3. アクティブ投信のワクワク感

※コモンズ30ファンドは、日経225に入っているような大企業が中心ですが、30社と集中しているためアクティブシェアは高いです。

レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)
  1. 日本を根っこから元気にする成長企業への投資
  2. 守りながらふやす(標準偏差がインデックスより小さくなるようなポートフォリオマネジメント、高シャープレシオ)
  3. レジリエンス(急落後の復活力、回復力の高さ)

※ファンド残高が拡大するとインデックスに近づくという見解がありますが、ひふみ投信のアクティブシェアは高位です(外国株式を組み入れたのも一因)。
藤野さんは、ひふみ投信が1兆円ファンドになってもアクティブシェアは高いだろうと言っていました。(時価総額上位の、レオス的にダメな大企業は買わないので)

感想

アクティブシェアは、高いほどいいというものではないですが、ファンドのアクティブらしさを測る数字としては役立ちます。少なくともアクティブシェア60%以上が「いいアクティブファンド」の最低条件と言われています。

とはいえ、個人投資家には今のところアクティブシェアを知る術がありません。ベンチマークがないファンドでは、あくまで参考指数ベースとなりますが、運用報告書などで定期的に開示してくれると有り難いです。

アクティブシェアはシャープレシオのように統一的に測れる数字ではなく、比較するベンチマーク次第で変わりますが、一定の条件の下で、モーニングスターなど第三者による開示も可能ではないでしょうか。

ただし、アクティブシェアを高めるためにポートフォリオを組む、のは本末転倒で、あくまでボトムアップでいい企業を選んだ結果の数字だということは理解しておく必要があると思いました。

本セミナーの内容は東証マネ部でも分かりやすくまとまっています。

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