鎌倉投信の月次レポート「結いだより」119号(2020年2月)で、ベンチマークについてのコラムが載っていました。
この中で、アクティブファンドとベンチマークの関係を分かりやすく説明してくれていたので、触発されて少し書きたいと思います。
一般的なアクティブファンドに対する理解
アクティブファンドというと、特定のインデックス(指数)をベンチマークとして、ベンチマークを上回る運用成果を出すことを目指すもの、という考え方が一般的です。
運用会社やファンドマネジャーが独自の見通しや投資判断に基づいて、ベンチマーク以上の収益を目指すファンドのこと。
(アクティブ・ファンド | 金融・証券用語解説集 | 大和証券)より
そもそも、ベンチマーク(benchmark)とは、測量の水準点が由来で「(他のものと比較するときの)基準、標準」という意味です。
しかし、鎌倉投信の結い2101はじめ、ベンチマークのないアクティブファンドもたくさんあります。現に、私の保有しているアクティブファンド10本は、全てベンチマークがありません。
ベンチマークをなぜ設定しないのか
結い2101がベンチマークを設定しない理由はこう説明されています。とても大事なポイントです。
ベンチマーク(インデックス)の制約に囚われずに、純粋にいい会社に投資するためです。
(結いだより 第119号)より
ベンチマークのある一般的なアクティブファンドの場合、設定したベンチマーク(日本株ならTOPIXが代表的)を横目で見つつ、市場平均との勝ち負けを意識した運用をしないといけません。ポートフォリオの業種配分や組入企業もベンチマークに引っ張られがちになってしまいます。
実際に、TOPIXをベンチマークとする日本株アクティブファンドの月次レポートなどでは、TOPIXの業種配分と当該ファンドとの比較や、月単位の騰落率比較など、当然ですが「TOPIXを基準に、それと比べてどうか」という説明がなされます。
そうではなく、運用会社としていいと思った会社に「だけ」顧客の資産を振り向けるために、ベンチマークを設定しない。この方がアクティブファンドとして誠実な気がしますし、運用の本来の姿だと思いますがどうでしょうか。
ファンドマネージャーが、プロの信念と目利き力で選び抜いた、真に「いい会社」群に投資できるのがアクティブファンドの醍醐味です。なので、私としては「ベンチマークはありません」というアクティブファンドをこれからも選びたいです。
ベンチマークと投資家の姿勢
結いだよりでは、本来ベンチマークは投資の成果を(事後的に)評価する指標だったのに、いつの間にかベンチマークに引っ張られた運用をするようになってしまった、運用とベンチマークの主従関係が逆転してしまったのではないか、とも指摘しています。
思うに、この逆転が起こった一因は、市場平均との短期的な勝ち負けばかり気にしてきた投資家のせいも大きいと思います。(毎期の成果を求められる機関投資家では特にその傾向が強いのかも)
インデックスに勝った負けたに一喜一憂せず、厳選されたいい会社の価値の成長に長い目でどっしり投資する、そういう姿勢の投資家が増えれば、結果的に長期で指数を上回るアクティブファンドが増えていくのではないかと考えています。
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ベンチマークは、「隠れパッシブ」「なんちゃってアクティブ」ファンドを生む一因にもなっています。レオスにて、コモンズ投信、スパークスを交えた「何が真のアクティブか」についての鼎談を思い出したので貼っておきます。