セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

広島県のがん検診推進のためのソーシャルインパクトボンドに出資しました

ソーシャルインパクトボンド(SIB)に個人で参加できる初の案件がセキュリテでリリースされました。出資を申し込みました。

ソーシャルインパクトボンドは、行政が事業者に対して、成果に応じて報酬を払う契約の仕組みで、当初の事業コストを投資家など民間の資金でまかなうのが特徴です。行政コストを抑えつつ、社会課題を効率的に解決し、投資家にもリターンがもたらされる仕組みとして日本でも実績が増えてきました。

2015年に日本財団でSIBの勉強会に参加した際に、投資型クラウドファンディングを通じて個人でも投資できるようになる?と聞きましたが、このたび実現しました。
(旧ブログより)
ソーシャルインパクトボンド(SIB)のセミナーに参加しました(その1)

今回のSIBは、広島県内の人たちの大腸がん検診の受診を増やすため、行政から委託された株式会社キャンサースキャンが行う広報・マーケティングの必要経費を調達するものです。

スキームは下記のとおり。

事業者はキャンサースキャン、アレンジャー(中間支援組織)としてケイスリー、資金提供者はみずほ銀行、広島銀行、私たち個人投資家(ミュージックセキュリティーズ経由)、そして社会的投資推進財団、となっています。キャンサースキャンは八王子の同様のSIBでも実績を上げた会社です。

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広島県がん検診推進SIBファンド1|セキュリテより)

2年間の事業を、「どれだけ大腸がん検診を受ける人が増えたか」を測る2つの基準をもとに評価し、成果に応じたフィーが広島県と県内の6市から事業者(キャンサースキャン)に支払われ、その一部が投資家のリターンの原資になります。
・広島県6市内の大腸がん検診受診者増加数
・受診者のうち精密検査要受診者の受診率

ソーシャルインパクトボンドは、資金提供者(投資家)がまず事業者に先払いし、役所は事業の成果に応じて後払いするのが特徴です。

そのため、投資家のお金を呼び込むには、リスクをある程度補完する仕組みが必要ですが、今回の分配順位としてはセキュリテ(個人投資家)が優先、社会的投資推進財団が劣後します。あまり成果が上がらず、キャンサースキャンの売上が少ない段階からセキュリテの投資家に優先的に分配することでリターンを確保するストラクチャーです。
みずほと広銀は「返済」とあるので、より上位のシニアorメザニンのポジションなのでしょうか(不明です)。

一方で、セキュリテの分配シミュレーションを見ると、最大の成果報酬が支払われても、2年間で償還率108.5%(源泉徴収前)なので、決して高いリターンとはいえないと思います。
この辺の成果とリターン設定のバランスは、投資家の属性や、各投資家が社会的リターンをどう考えるかにかかってくるので、SIB組成の勘所になるのでしょうか。

また、今回のソーシャルインパクトボンドの案件規模は、約2,200万円です。
ケイスリーの代表、幸地さんが、「八王子市の事例にみるSIBの課題と成果」という寄稿の中で「事業規模の拡大が喫緊の課題」としているとおり、多数の関係者とのアレンジ、スキームセットアップ、事業の評価の手間などを考えると、やはり1件億単位の規模にならないと、普及しない懸念もあります。ロットが小さすぎると機関投資家も入ってきにくいです。

とはいえ、今回個人が少額から参加できる初めての案件ということで、ソーシャルインパクトボンドの認知度も上がると思います。資金規模は相対的に小さくても、社会的リターンの考え方も含めてリスクリターンに対する価値観は幅広いので、個人投資家がSIBに参加できる余地は実は大きいのではないでしょうか。