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GPIFの運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、上場企業が発行している統合報告書の中から「優れた統合報告書」の選定結果を公表しました。

(GPIFリリース)
「GPIFの国内株式運用機関が選ぶ『優れた統合報告書』と『改善度の高い統合報告書』の公表について」を掲載しました(PDF)

国内株式の運用を委託している運用会社の声をまとめたもので、「優れた統合報告書」として70社、「改善度の高い統合報告書」として68社が選ばれています。
このうち、複数の運用会社が特に高く評価したとして選定されたのが以下9社です。(オムロンは両方に入っています)

「優れた統合報告書」(5社)
・・・味の素、コニカミノルタ、オムロン、伊藤忠商事、丸井グループ
「改善度の高い統合報告書」(4社)
・・・大和ハウス工業、住友金属鉱山、オムロン、住友商事

そもそも「統合報告書」とは・・・

統合報告書とは、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスといった非財務情報も合わせて提供し、中長期的な企業価値について投資家とコミュニケーションをとるツールです。欧米を中心に機関投資家が非財務情報を重視するようになり、日本企業もその動きに対応し、統合報告書への関心が高まっています。
統合報告書は増えているのか?優れた統合報告書とは? | CSRコミュニケート)より

味の素の統合報告書を読んでみた

評価されている味の素の統合報告書を見てみました。今回の選定での運用会社の声です。

「トップメッセージの中で、主な経営指標が財務(経済価値)と非財務(社会価値)に関連付けて明確に説明されており、統合(ブランド価値)を生み出すというシナリオが明快。コンセプトと具体事例のバランスがよい。多くの独自 KPI から取り組みの真剣さを感じる。」

統合報告書というと、以前からあるアニュアルレポート(財務・業績)とCSRレポート(非財務、社会・環境)を単にガッチャンコしただけの企業も多いといいます。

個人投資家としては、そうではなく、統合報告書を通して、
・その企業が、会社を取り巻く課題のうち、長期的な目線でどのようなESG課題を特に重視しているのか(マテリアリティ)
・それぞれのESG課題へのアプローチが、企業の持続的な成長(業績や企業価値の向上)にどうつながっていくのか
という部分が知りたいところです。

その点、味の素の統合報告書は、課題の抽出はもちろん、特に、非財務(ESG)要因と財務要因の関連が分かりやすいです。

「健康なこころとからだ」「食資源」「地球持続性」という大課題を柱に、どのような課題にどんなビジネスでアプローチし社会的価値を生むのか、その結果、どのように財務的な価値(利益や持続的なEPS成長)につながるのか、の流れが整理されていて明確だと思いました。味の素の商品を使っている消費者の立場でも分かりやすかったです。

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(「味の素グループ 統合報告書2017」p17より)

コモンズ30ファンドの投資先企業も多く選ばれている

そして、味の素と言えば、自分も保有しているコモンズ30ファンド(コモンズ投信)の投資先の一社です。

GPIFがリストアップしたいい統合報告書を作っている会社には、うれしいことに味の素のほかにもコモンズ30の投資先企業が結構入っています。30社の投資先中、実に16社が含まれていました。

日揮、丸紅、三菱商事、旭化成、味の素、資生堂、エーザイ、資生堂、シスメックス、セブン&アイ、ディスコ、堀場製作所、日立、リンナイ、ダイキン工業、クボタ

コモンズ30ファンドは、非財務の「見えない価値」や、投資家やステークホルダーとの「対話」を通じた価値創造と言った要素を重視しています。そのような運用の考え方が、今回のGPIFの選定結果にもしっかり表れています。

ちなみに、このうち、資生堂、日立、ダイキン工業は、以前コモンズ投信のセミナーでダイバーシティの担当者のお話を聞きました。堀場製作所の堀場会長は、鎌倉投信の受益者総会で講演をお聞きしたことがあります。

統合報告書はあくまでレポート

投資先の企業に対する理解を深めるのに、統合報告書は大事なツールだと思います。

一方、統合報告書はあくまでレポートに過ぎません。
どんなに素晴らしい内容でも、書かれている事業目標を、経営者が長期目線でどこまで本気で目指しているのか、そのストーリーや価値観が現場の社員の人達にどこまで浸透しているのかを見極めないといけないと思います。特に、社員が何千人、何万人の大企業の場合にはそうです。

アナリストやファンドマネージャーの方々には、企業とのリアルな対話や深い調査を通じて、その部分を見極め、私たちに伝えていただく役割を期待しています。

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旧ブログより。