セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

さわかみ投信と鎌倉投信共催の長期投資新春セミナー(その1)

1/9に、計3会場で、直販投信.jpの主催する、直販・独立系投信8社の合同セミナーが開かれました。

「長期投資新春セミナー」 ~究める投資道~

チームA~Cの3会場のうち、私は、半蔵門のさわかみ投信本社で開かれた、さわかみ投信と鎌倉投信の共催セミナー(チームA)に参加しました。



<プログラム>
・冒頭挨拶 さわかみ投信 取締役会長 澤上 篤人さん
(講演)
・さわかみ投信 運用調査部長 岡田知之さん
・鎌倉投信 代表取締役社長 鎌田恭幸さん

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冒頭に、澤上会長の挨拶。
相変わらずお元気で、今でも年200本以上講演をこなすとのこと。
今は投信市場全体の0.5%?に過ぎない直販投信も、10年後には2割3割になっているはずといつもの澤上節でした。

続いて、さわかみ投信の運用調査部長、岡田知之さんによるプレゼン。
テーマは「さわかみ投信の考える長期投資」。

さわかみ投信の運用の考え方を、ちゃんと聞くのは初でしたが、根っこの部分は長期投資を標榜する他の独立系投信会社と同じです。(むしろ元祖はさわかみなので当然ですが)

・株価は企業の本来の価値を超えて上がったり、本来の価値以下に大きく下がったりする。暴落時は応援すべき企業を支えるチャンスと考える。

・暴落時のチャンスを活かすには、現金を用意しておく必要がある。さわかみファンドでは、株価が本来の価値を超えて上昇したときに、一部利益確定し現金化しておく。そして、景気が悪くなって株価が下がっている局面で応援買いにまわす。

・営業利益率やROEといった数字だけではなく、その会社が次の世代にも必要とされるのか、どのように社会をよくしていけるのかという観点から企業を選ぶ。これはFMが変わっても、17年間一貫している。

「株価」にとらわれず「価値」を買い、長く持ち続けるという基本的な考え方の解説でした。

セゾン投信の中野さんやコモンズ投信の渋澤さん、伊井さんも同じようなことをよく言われます。

中長期的な企業の正しい価値が分かるのか?と異論もあると思いますが、私はこれらの独立系のアクティブファンドにも投資しているので、すんなり入ってくる内容でした。

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後半は、鎌倉投信・鎌田社長のパート。こちらが目当てでした。
テーマは「これからの時代に求められる投資の視点」。

さわかみ本社での開催ということもあり、鎌倉投信の理念と運用哲学、「いい会社とは?」について丁寧に説明されていました。

過去にも何度も書いているので繰り返しですが、記録しておきます。
鎌倉投信に興味のある方は下記の記事もご覧ください。

【過去記事】
「いい会社の理念経営塾」#4(鎌倉投信・鎌田さん)に行ってきました

【書評】「外資金融では出会えなかった日本でいちばん投資したい会社」(鎌田 恭幸著)

・鎌倉投信の運用方針はシンプル。「いい会社」が「いい会社」であり続ける限り持ち続ける
「いい会社」とは、「本業で社会に貢献する会社」であり、会社に関わる全ての人が「いい会社」と実感できる会社。そういう会社を丁寧に見つけて長く応援する。

・誤解しがちだが、「長期投資」だから必ず成功するわけではない。長期投資をする上での「判断が一貫していてブレないこと」がより重要。

・(受益者総会などの場を通じて)お客様から預かったお金が、どのように活かされているかを伝えることも金融の役割だと思っている。直販ならそれができる。だから直販にこだわっている。

・運用者の力量だけでよい運用成果は出せない。安定的に資金を出してくれるよい顧客が付いていることが大事。

・大学との共同研究や多くのいい会社を見ていく中で、価値ある企業は、財務的な利益だけでなく、「こころの利益」「社会の利益」「公共の利益」をも生み出していることが分かってきた。こういった会社は、「経営理念力」「人材育成力」「信頼形成力」という「共感資本」の力が強い。

具体例として、ヤマトホールディングス、ユーシン精機、ハーツユナイテッドなどの投資先が紹介されました。

・これらの企業は、「社会にとっていいこと」と「会社の利益を出すこと」が同じ方向を向いている。投資も同じ。「社会性」と「リターン」は決して対立軸ではない

・20世紀が金融資本主義だったとすれば、21世紀は「社会価値創造の資本主義」の時代。
儲け第一ではなく、利他的な精神がお金を産む時代であり、だからこそ、いい会社でなければ生き残れない。投資も、よりよい未来をつくるためにどうお金を使うかが求められる。

・鎌倉投信の受益者も、お金の使い方が変わったことをきっかけに生き方や人生まで変わった人もいる。そういう仲間が増えれば、きっといい社会へと変わっていく。

鎌田さんのプレゼンは、決して派手ではないのですが、心がこもっていていつも伝わるものがあります。
ジェスチャーやパフォーマンスは少ないけれど、静かにしみわたる、というタイプで好きです。今まで聴いてきたことと重なる部分も多かったですが、今回も聞き入りました。

メインの講演の模様は以上です。
後半は、質疑応答のセッションです。
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