セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

川元由喜子さんセミナー「株式投資ってどういうこと? ~ 資産形成に活かすアクティブ投資」

元・ありがとう投信のファンドマネージャー、川元由喜子さんのセミナーに参加しました。

川元さんは、85年に日興証券入社、HSBC投信投資顧問を経て、昨年までありがとう投信で運用をされていました。今はフリーで「経済に強いママを増やす会」を主宰され、ご自身も株式投資家です。一度お聞きしたいと思っていました。

 配当利回りに注目した割安株投資を中心に、プロでなくてもできるアクティブ投資を分かりやすく話して頂きました。

個人投資家こそアクティブ投資

・プロ(機関投資家)は、お金を預かって運用する。失敗した時に言い訳しないといけないので、他人と大きく違う投資判断や運用方法はとりにくい。結局無難な運用、インデックス運用に近づいてしまう。

・個人は、機関投資家のような制約がなく自由なので、機関投資家よりもいい運用ができる可能性が十分ある。少なくとも「自分(川元さん)は、自分で運用してインデックスに負ける気は全くしない。」

・株式投資の正しい役割を世の中の人がきちんと理解してもらいたい。インデックスファンドはコストが安いという点は確かにいいが、ただインデックスを買っておけばいい、という風潮はよくないと感じている。アクティブな投資は投資信託だけではないので、株式投資にも多くの人が取り組んでほしい。

配当利回りで割安株を探す

・たくさんの株式指標があるが、ROE、PBR、PER、配当利回りぐらいを理解していれば十分。その中でも(川元さんは)「配当利回り」を最も重視。

・割安株の魅力は、全体が下がった時にあまり下がらないこと。成長株はすでに高いことが多いので、予想通り利益が出なかったときの下がり方も大きい。

・割安な銘柄は「配当利回りの高い会社」から探す。配当は現金として手元に入る確実なリターンなので、価値の基準として優れている。一方、利益やPERは大きくブレるので、割安割高の判断は難しい。

・企業探しはネットはあまり使わず、ずっと四季報でやっている。四季報はどんどん進化しているし、何より必要な情報が網羅されていてとても使いやすい。

・高配当利回りの銘柄が見つかったら、特殊要因(記念配当など)の有無、翌期の減配可能性をチェックする。

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業績予想はいろんな角度から

高配当利回り=割安銘柄の候補が見つかったら、その企業の業績を予測する。
業績予測はとても難しく、プロでもまず当たらないが、「配当の確実性はどうか」「配当が減るリスクがあるか」という観点で、いろんな角度から考えてみる。

・馴染みのある企業、自分の仕事の専門や詳しい業種
 何の会社か全く分からないけど配当利回りが高いから買う、はNG。

・企業の将来性
 難しいが、世の中のトレンドを自分なりに考える。将来性にこだわりすぎると高値づかみしかねないので、常識感覚で。

・会社の体質や経営者の資質
 決算説明や株主総会などで、真摯に投資家に対応しているか?

・過去の業績
 過去10年の経営指標や実績を調べる。同業種で比較すると、会社ごとの特性(利益率や配当性向など)がつかめたりする。

・いろんなシナリオ、可能性を考える
 その会社が数年後どうなりそうか? ネガティブなシナリオも考えておく。

・「好き嫌い」も大事
 その会社を「好き」と思えるかどうか。

→ いろんな角度から会社を見て、自分なりの「確信度」を高めるボトムアップのプロセスですね。例えば自分なら、ここにESGやCSRなどの視点も入れたいです。

 「売る」つもりでは買わない長期投資

川元さんの投資スタイルです。シンプルで分かりやすいです。

・一度買ったら、基本的には売らない長期保有。

・全体の相場(市況)はあまり見ない。あくまで個別の会社をみる。市況にかかわらず、いい会社が安いと思えば買い、持ち続ける。

・銘柄分散、業種分散は結果的にはされているが、あくまでボトムアップ。

所感

個別株は、20代後半から30代半ばまで、結構取引していました。
その頃は、事業内容や業績は全くみないテクニカルで、短期のスウィングやデイトレでした。振り返ると、信用も含めてポジション的には今よりもかなり取っていて、ムチャなことをやっていたと思います。

その後投資信託のコツコツ投資に転身し、アクティブファンドに投資するうちに、当時とは全く違う目線で、企業をしっかり見る個別株投資にも興味が出てきました。

割安割高を判断して企業を選ぶのは、とっても難しいことだと思いますが、川元さんの話を聞いていて、こういう長期の株式投資は面白いだろうなと感じました。株主総会の話やガバナンスの話題もあって勉強になりました。また四季報でも見てみようかなと。

川元さんのブログより。投資を考えるのに大事だと思った一節です。

私がお話したいのは、株式市場の本来の姿、投資というものの考え方についてです。株式市場でギャンブルするのはご自由にどうぞ、ですが、それは株式市場の姿のほんの一部であるということ。株式市場は経済の成り立ちに非常に重要な役割を担っているということ。ですから同時に株式投資家は、経済に重要な貢献をしているということ。また、株式には価値があるということ。その価値は企業とともに成長するということ。その成長の恩恵を、多くの投資家に享受してほしいということ。