セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

ソーシャルレンディングのリスクにどう付き合うか(クラウドクレジットの「カメルーン中小企業支援プロジェクト15号」が再延長)

海外向けソーシャルレンディングのクラウドクレジットでは、満期償還されたものも含めて、計9本のファンドに投資しています。

カメルーンファンドの回収遅延と再延長

そのうちの一つ、「カメルーン中小企業支援プロジェクト15号」のファンド期間の再度延長のお知らせがクラウドクレジットよりありました。(正確には私が投資しているのは【為替ヘッジあり】のもの)

このファンドは、トレードファイナンス(与信先企業の商品在庫を動産担保にしたファイナンス)の手法で、カメルーン国内の中小企業の事業資金を融通するものです。今までに25本のファンドが組成されています。

通知によると、借り手企業からの資金回収が滞っており、ファンドの元利金返済時期が未定のため、2018年4月に6ヶ月延長したTK契約をさらに1年延ばす措置が取られます。
今後引き続き、現地パートナー企業(Ovamba)と協力して可能な限りの回収に努めるとのことですが、状況的にはなかなか厳しそうです。

ほとんど気にしていませんでしたが、「カメルーン中小企業支援プロジェクト」は、他の号でも返済遅延などが起こっています。運用レポートを見ると、いわゆるカントリーリスク(商慣習や遵法意識の問題、海外送金に対する手続きの変更など)が結構露呈しており、フロンティアと呼ばれる国々に対する投資の難しさが分かりました。

運用状況|クラウドクレジット

ソーシャルレンディングへの投資スタンス

では、このようなリスクがある投資はやめてしまった方がいいのでしょうか。

投資するにあたって、クラウドクレジットの各ファンドの仕組みや、誰にどのようなスキームで融資するのか、はもちろん理解していますが、一方で、個々のファンドのリスクの度合いや、それに見合った妥当な期待リターンの水準を、少なくとも私は「正確には」判断できません。

例えば、このファンドの当初の想定利回りは10.8%(為替ヘッジ付)でしたが、まあこのぐらいかなあ、ちょっと低いかなあ、ぐらいしか思いませんでした。

そもそも借り手企業は開示されませんし、開示されたとしても、カメルーンのAという小さい会社のクレジットがどうか、など判断できる由もありません。他にも、カメルーンのお国柄やパートナー企業であるOvmaba社の信用などなど、読めないリスクがきりがないほどあります。

だからこそ、ソーシャルレンディングのような投資は、期待利回りが高いから、ではなく、各社の運用哲学を理解し、自分にとっての投資の意義を明確に持つのが大事だと思っています。

クラウドクレジットの場合なら、成長余地が大きいのに資金の届きにくい海外の中小企業や個人にお金を届けるという同社の理念です。投資を通じて社会的なインパクトを生むという自分の考え方と合致します。

同時に、実情を知らない国の中小企業や個人に貸付を行うという投資の性質上、運用会社であるクラウドクレジットの商品組成能力や運営体制(スタッフのメンバー構成も含めて)が信頼に足るのか、よく吟味することも必要です。

ソーシャルレンディングというジャンルの中で、クラウドクレジットにだけ投資しているのは、私個人の判断としてはこの2つ(運用哲学への共感と会社の信頼性)を満たすのが今のところ同社だけだからです。

その上で、リスク管理の点では、利回りの高さにつられて一つのファンドにお金を突っ込むことはせず、投資額は少額に抑え、タイミングや案件のタイプの分散も心掛けています。

自分の場合、かりにこのカメルーンファンド15号が全損となったとしても、ソーシャルレンディングの投資額に占める割合は1割程度ですし、メインの投信を入れた運用資産全体に占める割合は約0.2%にすぎません。クラウドクレジットの杉山社長も常に言っている通り、分散は非常に大事だと思います。

逆に、うまくいかない案件が出たからといって、全部がダメ、ということにはなりません。実際、カメルーンファンドでも普通に満期償還されたものもありますし、他のファンドも順調に運用中のものが大半です。

クラウドクレジットの考え方に共感して投資をしているので、これからも自分がいいと思うファンドにはリスクを取りすぎない範囲で参加していきたいと思います。