セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

アクティブファンドの5つの「P」と「People」

f:id:shimo1974:20210917080517j:plainお世話になっているrennyさんと、吉田喜貴さんが、アクティブファンドの月次レポートを研究し発信する「月次レポート研究所」を立ち上げました。

趣旨に賛同します。ぜひお読みください。

その中で、アクティブファンドの<5つの「P」>について、問いが投げかけられています。個別のレポートの分析検討ではなく総論的な部分になりますが、少し考えてみました。

投資信託、特にアクティブファンドを選ぶ場合には、次の5つのPをチェックしましょう、と言われます。

5つのP|用語集|企業年金連合会

1.フィロソフィー(Philosophy)=投資哲学
2.ピープル(People)=人材
3.プロセス(Process)=運用プロセス
4.ポートフォリオ(Portfolio)
5.パフォーマンス(Performance)

私も、ファンドを選ぶときはこの5つの視点で見るようにしていますが、この5つのPは全て等しく重要な並列的概念ではないと思っています。

やはり、アクティブファンドである以上、確固とした投資哲学があることが絶対的に重要です。そして、「運用プロセス」や「ポートフォリオ」が、投資哲学と整合性があり、一貫したものかどうかが大事です。

自分の場合は、社会のさまざまな課題を解決し、持続的に成長できるような「いい会社」「強い会社」を、徹底的な調査を通じてしっかり選び、長期で投資するファンドを多く選んできました。

一方で、誤解を恐れずに言えば「パフォーマンス」の優先順位は低いです。これは、運用成績が重要ではないと言っているのではなく、ファンド選びの基準としては最優先の要素ではないということです。

証券会社やメディアは、運用成績が(短期的に)優れたファンドを勧めがちですが、パフォーマンスは過去の結果にすぎません。一定の運用実績やパフォーマンスの検証は大切ですが、より大事なのは、将来も長期的によいパフォーマンスが期待できるかです。ブレない投資哲学があり、一貫した運用プロセスがあるか、ポートフォリオの構築やマネジメントにそれらが反映されているか、そして、月次レポートなどを通してきちんと報告され、納得性があるかどうかです。

 

と、ここまで書いてきて、抜けているものがあります。「People」=人材です。

多くの投資信託を見てきた中で、圧倒的に不足しているのが「どんな人が運用しているのか」についての情報です。未だに、誰が運用しているのか、HPや目論見書を見てもファンドマネージャーの名前すら分からないファンドが大半です。運用経験年数は開示されていたりしますが、これではどういう人かは分かりません。

運用担当者の経験年数等一覧 (野村アセットマネジメント)
運用担当者等の開示について (アセットマネジメントOne)

一方、私の保有しているファンドの多くは、運用チームのメンバーのプロフィールはもちろん、どんな思いをもって日々企業と接し、投資先を選び、運用しているのか、さらには、企業や投資のあり方についてどんな考え方を持っている人なのか、人となりが分かるような発信をたくさんしています。

レポートだけでなく、運用報告会や、セミナー、動画などさまざまな手段を使って受益者とコミュニケーションしています。運用会社の例を挙げれば、レオス、鎌倉投信、コモンズ、セゾン、NVIC、このあたりは全てそうですね。「顔の見える」ファンドと言ってもいいでしょう。

アクティブファンドにとって、投資哲学が最も大事なのは当然ですが、それを伝えるのは「人」です。ファンドの投資哲学は、そのファンドを運用する「人」の価値観が具現化したものとも言えます。その意味で「Philosophy」と「People」は一体であり、どんな人が運用しているのか分からないファンドは、投資哲学を示していないのにも等しいのではないのでしょうか。

顔や名前を出すと、成績が悪かった時に叩かれるから、とでも考えているのでしょうか。もしくは、人事異動でコロコロ変わってしまうからでしょうか。目論見書にどんなにきれいな文言が踊っていても、そんなファンドに大事なお金を託したくないですよね。

金融庁は、最低限、投信の運用責任者の氏名と経歴ぐらいは開示を義務付けてもいいと思いますがいかがでしょうか。