日本版グラミン銀行「グラミン日本」が9/13に設立され、事業を開始しました。
グラミン日本は、準備段階からセミナーに参加していて、設立資金を集めるクラウドファンディングも支援しました。
グラミン日本準備機構のワークショップ(4/21・東京)に参加しました
グラミン日本(日本版グラミン銀行)のクラウドファンディングを応援しました
今回、設立にあたり開かれた記念パーティに参加しました。主に以下が説明されました。
- グラミン日本の理念と活動目標
- グラミン・ローンの具体的なビジネスモデル
- グラミン日本SDGsコンソーシアムについて
グラミン日本の理念・活動目標
グラミン日本は、「貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会」を目指し、生活に困っている人たちに起業や就労のための準備資金を無担保で融資するマイクロファイナンス機関です。先進国型のマイクロファイナンスとして実績のあるグラミン・アメリカがモデルになっています。
以下がグラミン日本の目指す社会です。
単に貧困解決だけでなく、株主偏重の今の資本主義そのもののかたちを変えることを目指します。7.は鎌倉投信などの考え方に重なりますね。
- 貧困のない、誰もが活き活きと生きられる社会
- 貧困・生活困窮に陥った時、そこから脱却する助けがセーフティネット/ソフトインフラとして整備されている社会
- 生業的な起業(プチ起業/小商い)が普通にできる社会
- Job SeekerよりJob Creatorが活躍できる社会
- 地域・コミュニティがお互いに助け合い、共感のある社会
- ユヌス・ソーシャルビジネス7原則が実践される社会
- 会社が、株主だけでなく経営者、社員、取引先、顧客、地域・コミュニティなど全ステークホルダーに貢献する社会
6. の「ソーシャルビジネス7原則」とは、グラミン銀行創設者のムハマド・ユヌス氏が提唱したものです。経済的利益ではなく、社会課題の解決を事業目的としており、出資者には元本以上のリターンは付きません。
グラミン・ローンの具体的なビジネスモデル
今回詳しく明らかになったのは具体的な融資の進め方です。
グラミン日本は、当面シングルマザーなど女性を対象に融資を行います。日本のひとり親家庭の相対的貧困率は、他の先進国と比べて高く、格差の問題を象徴する分野だからです。
グラミンのマイクロファイナンスの特徴は、ただの貸付と違い「金融」と「互助」の機能がセットになっていることです。「メンバー」とよばれる借り手は、5人一組の互助グループ(連帯責任あり)を組みます。毎週ミーティングを持ち、グラミンのサポートを受けながら、起業や就労などの自立を目指します。
融資の仕組みです。
・働いて生活をステップアップしたい人が対象
・生活資金ではなく起業・就労など所得創出使途に限定
・各自治体の生活扶助基準の1.8倍以内の収入であること
・事前の金融研修、週1回のセンターミーティングに参加することが条件
・初回融資額は20万円が上限(2回目以降返済状況により増額可能)
・融資期間は6ヶ月または1年。金利は6%、無担保、毎週の元利均等返済
グラミン日本では、融資とサポートを行う基本単位である「センター」と、センターを統括する「センターマネージャー」の役割がとても重要になります。当面は、日本シングルマザー支援協会など連携団体の協力も受けながら運営していくようです。
(ユヌスさんのビデオメッセージも流れました)
グラミン日本SDGsコンソーシアム
将来的には、SDGs(持続可能な開発目標)の推進という大きな枠のもとで、貧困解決のために行政や企業と幅広く連携していく方針です。その構想として「グラミン日本SDGsコンソーシアム」案が示されました。
グラミン日本が目指すのは、先進国である日本で、利他のお金の流れをつくり、金融を通して貧困と格差をなくすことです。この壮大なチャレンジを応援しています。出資や寄付での参加も検討したいです。