セルフ・リライアンスという生き方

投資信託を中心にいい会社、いい事業にコツコツ長期投資しています。 社会とつながるソーシャルな投資や寄付も実践中。

認定NPO法人3keysのChild Issue Seminar(第15回)

子どもに関わるさまざまな問題を学ぶ、認定NPO法人3keysのセミナーに参加しました。マンスリーサポータ―になって、3回目の参加となります。

Child Issue Seminarでは、毎回さまざまな分野の専門家を講師に招いています。第15回は、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生の講演と、3keysの2016年の年次報告でした。

第15回 Child Issue Seminar

精神科医 松本俊彦さん講演「医療の現場から考える子どもたちの孤立 そして大人にできること」

メンタルヘルス医療の第一人者である精神科医・松本俊彦先生から、子どもや若者のリストカットや自傷行為の背景にあるもの、大人としてどう向き合えばよいかについて、精神医療の立場から話して頂きました。

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生きるための自傷行為

どうしてリストカットなんてするのか? 理解できなければ、適切な対応もできません。

私のイメージでは、自傷行為は自殺未遂の一種、そうでなければ「自分の存在に気づいてほしい」というアピールが動機と思っていました。

しかし、その先入観は全く間違っていました。

自傷行為を繰り返す人は、心の奥に自分でもコントロールできない辛い過去の記憶や感情を抱えています。その何ともしがたい心の痛みにフタをするには、別のコントロールできる痛みを体に与えるのが手っ取り早い方法です。それが自傷行為です。

切ることで、辛い出来事の記憶や感情から切り離され、安堵感や解放感が得られるとのこと。実際に、切る瞬間には脳内麻薬の一種が分泌されると分かっています。

なので、自傷、リストカットは、「死ぬため」ではなく、むしろ「生きるため」の行為だということ。

しかし、麻薬は常用すると効き目が薄れます。自傷も同じで、どんどんエスカレートしていき、自傷なしでは生きられない、最期は自殺に至るリスクが高まります。最初は死ぬつもりではなかったのに、死に近づいていくのが自傷の怖さです。

自傷行為にどう向き合うか

10代の1割はリストカット経験者、さらにそのうち6割は10回以上切っている、という驚くようなデータも紹介されました。

大人側の対応次第では、問題はより深刻化してしまいます。

松本先生によると、大事なのは「良き外科医のような対応」。“Respond medically, not emotionally.”  つまり、傷を冷静に分析し、適切に治療し、背景にあるものを考えるという医学的な対応が求められます。

何とか生きよう、心の痛みを和らげようとしてやった行為を、頭ごなしに否定したり、叱責されたら、「もう二度とコイツには話さない」と思うでしょう。また、過剰な同情もNGです。

まずは「いい悪い」を決めつけず、相手の声に耳を傾けること。背景にあるものを理解するために、ケアする相手を孤立させず、関係を持ち続けることだと言います。

「死にたい」と言ってくれたら、むしろ相手と関係性が深まった証拠だ、という話はなるほどと思いました。

ただ、このような1対1の関係は、ケアしている大人側も疲弊してしまうので、支援する側も、ひとりで抱え込まず、チームを組んで対応すべきとのアドバイスでした。
相手から見て、信頼できる、依存できる大人になるには、支援する大人自身が、他人を頼れる状態にあることが必要です。

知識のない自分にとっては、適切でない言い方かもしれませんが、まさに「目からウロコ」で、じっくり聞いてしまいました。

専門的で難しい話題を、ふつうの人にも分かりやすく伝えられるのが真の専門家だと思います。松本俊彦さんは、まさにそんな専門家、医療者だと思いました。

機会があれば、ぜひ話を聞いて頂きたいです。

3keys 2016年度年次報告

3keysの近況

代表理事・森山誉恵さんより、改めて3keysの活動内容と近況の報告がありました。

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3keysは、児童養護施設などでの学習支援、子どもの権利保障推進(相談・総合支援)、そして、子どもを取り巻く問題の啓発事業、を3つの柱にしています。

これらは全て、「子どもの権利条約」で定められた、生きる、守られる、育つ、参加するという子どもの基本的な権利を保障するための活動です。

特に、3keysがカバーするのは、経済的な状況に関わらず、家庭での子どもへの関わり方に起因する、「社会的孤立」状態にある子どもへの支援です(図の左側)。
子どもの問題=「貧困」と結びつけがちですが、貧困状態にない経済的には普通の家庭でも、精神的虐待を含め、たくさんの子どもの孤立が起こっています。

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そんな中、2016年度は、3keysにとっていろんな意味で節目でした。

まず、今年3月には東京都から認定を取り、認定NPO法人になりました。おめでとうございます! 寄付によるサポートがますます拡大してほしいですね。

学習支援は、中高生向けの家庭教師型、小学生向けの教室型、合計で121名を支援し、成果が出ています。子どもとの関係づくりは本当に大変だと思いますが、3keysの柱なので、頑張ってほしいです。

Mex(ミークス)全国版スタート

2016年度のもう一つのトピックは、3keysの新しい事業、10代向けのなやみ相談窓口検索サイト「Mex(ミークス)」の開設です。

3keysが、学習支援を通して子どもたちの様々な問題にぶつかる中で、困っている子どもたちと、各分野のNPO・支援団体がつながれていない問題意識からこのサービスは生まれました。

当初東京版からスタートしましたが、今年6月にいよいよ全国版に拡大。現在、全国138サービスが掲載されています。
いじめ、不登校、家族、恋人、勉強、お金、就労、病気、LGBT、妊娠、薬物・・・・とカテゴリ別に相談先を探せます。スマホでも探しやすいし、電話orメール相談も選べます。

(参考)Soarさんの紹介記事が詳しいです。

担当職員さんより、ユーザーインターフェースはじめサイトづくりについて、10代の人たちに使ってもらうための様々な工夫について報告がありました。ふりがなのON/OFF機能はいいですね。Twitter広告などの効果でアクセスもアップしています。

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Mexは、掲載団体から掲載料は一切取っておらず、今のところ広告も載せない方針なので、私たちの寄付によるサポートが必須になります。

今回、紀尾井町のYahoo Lodgeが会場でしたが、Yahoo!基金も3keysをサポートしています。寄付と同額をYahoo基金が拠出する(2倍になる)マッチング募金をやっています。Tポイントでも支援できるので、ぜひのぞいてみてください。

折しも、児童虐待の件数が12万件を超えたというニュースもありました。通報が増えたことも一因だそうですが、この急激な伸び方自体、まだまだ隠れている事案が山ほどあることの裏返しだと思います。

児童相談所など、公的部門の体制が財源的にも人的にも厳しい中で、子どもの孤立を防ぐために、3keysのような民間の団体が果たす役割は強調してもしきれません。

2017年度の3keysは、学習支援などの直接支援200名、Mexを通じた間接支援4,000名を目標に掲げています。

お金を通じた支援にはなりますが、今後もサポートしていきたいです。

【過去記事】

3keys、子ども支援関連です。