セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

ひふみ投信の第10期運用報告書

ひふみ投信が10月1日に第10期の決算を迎え、運用報告書が11月末に開示されています。
同時にひふみプラス(第7期)、ひふみ年金(第2期)も決算を迎えました。

12/9の東京の運用報告会にはあいにく参加できませんでしたが、運用開始から満10年ということで、自分の理解と復習も兼ねてレビューしました。(一部月次レポートのデータも含みます。)

パフォーマンス

まず、各期の騰落率です。

10年のうち、第2期(2009/10~2010/9)、第5期(2012/10~2013/9)を除く8期間で配当込TOPIXを上回っています。

そのうち4期間は、市場全体が下落している局面で上昇しています(第1期、第3期、第4期、第8期)。改めてすごいアクティブファンドです。

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続いて、基準価額の推移です。

※配当込TOPIXは「SMT TOPIXインデックス・オープン」(分配金再投資)のデータを期首=10,000円として比較。

・設定来(2008年10月1日~2018年11月30日)

設定来10年2ヶ月(11月末時点)では、対配当込TOPIXで約2.6倍のリターンです。

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設定来ではすごすぎてよくわからないので、ファンド規模が大きくなってパフォーマンスに陰りが見えたと言われる過去3年、過去1年でも比較しました。
同じく、期首=10,000円として作成。

・過去3年(2015年12月1日~2018年11月30日)

過去3年でもまずまずです。

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・過去1年(2017年12月1日~2018年11月30日)

ここ1年だけ見ると、パフォーマンスはさえず、TOPIXとやや類似した動きになっています。
※一番上の騰落率のグラフはひふみ投信の決算期(2017/10/3~2018/10/1)ベースなので上記と期間が異なります。

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ひふみ投信の月次レポートには、「株式市場への値動きへの連動性」(ベータ)が掲載されています。2014年頃から0.8前後で高めでしたが、ここ1年ぐらいで急上昇し、最近は1.0を超えてきています。
同時に、最近はリスクもTOPIXを上回っているので、ひふみ投信の目指す「守りながらふやす」運用をどのようにキープしていくのかは気になるところです。

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(「ひふみのあゆみ」2018年11月度より)

ファンド規模(純資産総額)

直近期1年でひふみ投信は1.7倍、プラスは2.2倍増加しました。
ただし、決算日以降の10月に大きな調整があり足元ではやや減少。

・ひふみ投信:第10期末 1,489億円(第9期末 868億円)
 (2018/12/14 1,280億円)

・ひふみプラス:第7期末 6,634億円(第6期末 2,973億円) 
 (2018/12/14 5,778億円)

「投信まとなび」で月次の資金流出入を見ると、2018年に入ってからは9月にひふみ投信が純流出となったものの、まだ流入超が続いています。ただし、お金の入り方のペースは2017年よりさすがに鈍化してきています。

ポートフォリオ

・組入企業数

過去10年の、ひふみ投信マザーファンドの各期末時点の組入企業数の推移です。
第10期末は国内226社、海外12社の計238社。直近の11月末現在では計231社です。

ひふみプラスも含めて純資産総額が急増したここ2年で約2倍に増えました。外国株式への投資が始まったのは2017年6月です。こう見ると、やはりここ2年ぐらいでファンドの性質はやや変わったのかなと思います。(変わったからいい、悪いという判断はまた別。大きい方がいい面と悪い面があると思います。)

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参考まで、過去5期のマザーファンドの売買高比率の推移は下記です。10期は低めでした。

6期:1.69
7期:1.98
8期:1.94   
9期:1.91 
10期:1.23

・株式/現金比率(過去1年)

ここ1年の株式(国内・海外)・現金の比率です。株式比率は高めでキープ。外国株式比率はこの1年で2.5%から10.7%まで増えました。

ただし、外国株式の内訳は、9月頃までAmazon、VISA、マイクロソフトなどが組入上位でしたが、これらは10月以降一部売却により比率を下げ、同じ米国の中型株や中国の企業にシフトしています。(先月のひふみアカデミーで聞きました)

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・投資先上位10社

ひふみは市場動向にあわせて、時にドラスティックにポートフォリオを変えるため、最新の月次レポートから拾いました。
※スマホだと表がはみ出すので画像貼り付けに修正。

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1年前、2年前と比較して、トップ10に入り続けているのは東京センチュリー1社のみでした。長く投資している会社もありますが、入れ替えや投資比率の増減は長期投資系のファンドに比べると多いです。

なお、10期の運用報告書の中の「今後の運用方針」では、以下3点をポイントとして挙げています。
・世界的な金利上昇&ボラティリティー上昇の中で競争力のある企業への的確な投資

・米中貿易戦争の影響を受けにくい内需企業、同時に米中貿易戦争の漁夫の利を取れる企業の発掘

・IoT、自動化など第4次産業革命の恩恵を受ける企業

レオス・キャピタルワークスの上場

ひふみについては、運用会社のレオス・キャピタルワークス上場というビッグニュースがありました。独立系運用会社の上場はスパークス以来17年ぶりとのこと。

ちょうど今日の日経に藤野英人さんのインタビューが載っていました。
この中で藤野さんは、上場の意義について、独立系であっても運用会社としての永続性を示すこと、また、ガバナンスや情報開示の手本を自ら示すことと説明しています。

日本では、規模の大きい独立系の運用会社自体が少なく、上場例もほとんどありません。そんな中、上場によって、社会的な存在としてより多くのステークホルダーに対して責任を果たすとともに、認められる投信運用会社になる意思だと理解しました。

今後は、運用そのものだけでなく、経営に対する株主からのプレッシャーを受けることになるので、大変な道を選ばれたなと思います。株主になるかは分かりませんが、引き続きファンドの積立を通して応援します。

(12/21追記)
上場日(12/25)直前の12月20日に、レオスが上場の取りやめ(延期)を発表しました。「当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について投資家保護の観点から深掘りすべき事項が発生」したとのことで、ひふみ投信の受益者としては詳細が知りたいです。

募集株式発行及び株式売出しの中止に関する取締役会決議のお知らせ | ニュースリリース | レオス・キャピタルワークス株式会社