セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン投信のアライアンス・バーンスタイン徹底分析セミナー

セゾン投信と、アライアンス・バーンスタインの共催セミナーに参加しました。

【セゾン資産形成の達人ファンド】アライアンス・バーンスタインを徹底分析!

最近積立を始めた「セゾン資産形成の達人ファンド」は、複数の国内外の株式ファンドを組み入れたファンド・オブ・ファンズです。

そのうち、米国株に厳選集中投資する「アライアンス・バーンスタインSICAV-コンセントレイテッドUSエクイティポートフォリオ」の運用会社である、アライアンス・バーンスタイン(AB)の運用内容をお聞きするセミナーでした。
講師は、AB社の投資信託部長、中鉢勝さん。



アライアンス・バーンスタイン(AB)について

・NYSE上場、アメリカでも歴史のある独立系大手運用会社。世界21ヶ国の拠点、従業員は3,500人以上、AUMは4,850億ドル(約60兆円)にのぼる。

・顧客別の資産割合は、機関投資家:リテール:富裕層=3:2:1で、機関投資家向けが特に強い。他の運用会社と比べた強みは、200人以上のアナリストによる徹底した「リサーチ力」。

・日本のABは1986年に業務開始。機関投資家向けが強い一方で、小説「女子の幸福論」の編集協力や、個人向けの資産形成を応援する「ハッピーリタイアメントプロジェクト」など、外資系の運用会社としては珍しく、個人への長期投資普及にも力を入れています。

米国成長株集中投資戦略について

(注)以下では、達人ファンドに組み入れられている「コンセントレイテッドUSエクイティポートフォリオ」と同じ戦略のコンポジット(同様の運用手法のファンドのデータを集計したもの)のデータとして説明がありました。
ファンドそのものの実績ではありませんが、ほぼ同じと考えてよいと思います。

・集中投資戦略の投資哲学
=“長期に安定した収益成長が長期の優れたリターンにつながる

1974年~2014年の35年間で、5年以上連続で利益成長率10%以上の銘柄は、時価総額上位1,000社中23社のみ。
この23社は、S&P500を年率平均で2.7%上回るパフォーマンスを残している。

このような「持続的に成長できる会社」に集中投資する。必然的にこれらの会社は、下落相場にも強い。

具体的には・・・
- 景気に左右されにくい企業(生活必需品など)
- 利益だけでなく「売上」も継続的に成長している企業
リストラで短期的に利益が出ているだけの企業や、景気感応度の高い資源等の業種には基本的に投資しない。

・徹底したリサーチによる厳選集中投資
当戦略の保有銘柄は、20銘柄(2015/6末現在)と厳選したポートフォリオ。

<銘柄選定プロセス>
●50~100銘柄に絞り込み
時価総額30億ドル超、継続して利益成長10%以上、ROE一定以上など複数の指標で、約1,500銘柄から50~100銘柄を抽出。
   ↓
●40~50銘柄の投資ユニバース(投資候補銘柄群)を構築
50~100銘柄に対して、企業訪問を行って詳しく評価分析。3ヶ月に一回以上は定期訪問、経営陣との面談も実施。
別々の業種担当のアナリスト複数で訪問して、客観性を持たせる。
   ↓
●15~20銘柄の組入銘柄
投資ユニバースから、業種分散、株価水準(割安かどうか)、運用チームの確信度の高さ・・・を考慮して、実際にファンドに組み入れ。

通常のファンドの場合、一人のアナリストが30~40社の企業を担当することが多いが、AB社の場合は一人あたり8社程度なので、よりきめ細かいリサーチ、深い分析ができるとのこと。

・銘柄構成(参考)
米国株集中投資戦略の組入上位10社です。(2015年6月末現在)

チャールズ・シュワブ
エコラボ
クインタイルズ・トランスナショナル
マスターカード
ゾエティス
アンフェノール
アボット・ラボラトリーズ
センサータ・テクノロジーズ
ヤム・ブランズ
アップル

アップル、マスターカードなども入っていますが、なじみがない会社が多いです。いい意味でアクティブな銘柄選びだと思います。
なお、予想EPS成長率が高い銘柄に、より多く傾斜配分しています。

・パフォーマンス
直近10年 +9.6%  S&P500 +7.7%
直近5年  +20.2%  S&P500 +16.2% (いずれも年率換算)

また、同戦略の設定(1975年1月)から2014年12月までの40年間で、S&P500指数は103倍だが、同戦略を指数化すると488倍とインデックスを大きく上回る。

→ 資料にはコスト控除前のデータしかなく、注意が必要ですが、10年単位の長期で見てもかなりよい結果を出しているようです。

・平均保有年数
全て平均すると約3年。ただし、実際の組入後のストーリーの読み違いや、目標株価に予想以上に早く到達して売却する銘柄もあるので、多くの銘柄は3年よりも長く持っている。

「手間ひまかけた徹底的なリサーチ」と「安定的に成長できる厳選銘柄」に投資するという運用方針がよく分かりました。

達人ファンドには、同じ米国株を対象とする「バンガード米国オポチュニティファンド」と、「T. ロウ・プライス 米国大型グロース株式ファンド」が組み入れられていますが、ABのファンドは15~20と圧倒的に銘柄数が少ないのが一番の違いです。

ファンドオブファンズの場合、各組入ファンドのFMとの対話や価値観の共有がとても大事だと、セゾン投信中野さんも言っていました。一般の投資信託で、投資先企業との継続的な対話が重要なのと同じです。

今回のように、組入先運用会社と直接コミュニケーションができる場を設けてくれるのは有り難いです。
投資家としても(特に価格が下がった時に)持ち続ける動機づけとなり、結果としてファンドそのもののパフォーマンスにもプラスに働くと思います。