セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

クラウドクレジット主催の金融包摂(Financial Inclusion)勉強会

クラウドクレジットさんのご招待で、「金融包摂」についての勉強会に参加しました。

【メディア様・ブロガー様向け】勉強会を開催いたします - クラウドクレジット

「金融包摂」(Financial Inclusion)とは、聞きなれない言葉ですが、途上国などで、既存の金融サービスが受けられない層に対して、金融へのアクセスを提供するものです。

ここでの「金融」は、銀行口座、保険、貯金、決済、融資、・・・など、私たちが当たり前に使っている基本的なサービスです。



今回は、マイクロファイナンスを手がける認定NPO法人Living in Peaceアライアンス・フォーラム財団、社会的投資を行っているARUN合同会社、さらに途上国等でのソーシャルレンディングを行っているクラウドクレジットといったプレイヤーの方々より、「金融包摂」を切り口にしたプレゼンをお聞きした後、参加者のディスカッションでした。

世界では未だに20億人以上がフォーマルな金融サービスを受けられない状況にあります。
先般の国連のSDGs(持続可能な開発目標)の中でも、開発途上国の所得向上と貧困削減のために、「金融包摂」が重要な課題として謳われています。

そのような世界的な流れの中で、一番印象的だったのは、援助機関や既存の金融機関、民間投資家の取り組みよりもむしろ、ITと通信の急激な進歩が、この金融包摂を爆発的に進めるドライバーの役割を果たしているということ。

例えば、ケニアで通信会社が提供している、SMSを使った送金・決済サービス(モバイルバンキング)である「M-PESA」。
全く知りませんでしたが、銀行口座がなくても、携帯があれば、SMSを使って、電気のない田舎にも送金したり、公共料金が支払えたり、出金ができる便利なサービスで、人口の3割が利用しています。

(参考)
LINE Payのモデルがケニアに!?ケニア人の生活を支えるモバイル送金サービス『M-PESA(エムペサ)』が面白い!

今「FinTech」が流行りですが、レガシーな金融サービスがあふれている日本のような国よりも、むしろ途上国の方が、従来の枠を超えたFinTechが生まれる余地が大きいのかもしれません。
制度やインフラが未整備で緩い一方で、金融へのアクセスを必要とする潜在的な層が加速度的に増加しているからです。

一方で、現在は、これらのデジタル金融技術に規制が追いついていないため、アライアンス・フォーラム財団では、Inclusive Finance分野での共通ガイドラインを作ろうとアフリカで活動中だそうです。お金が動く以上、利便性だけではなく一定のルールが必要です。

金融包摂とITが切っても切り離せない関係になりつつあることがよく分かった勉強会でした。

「金融包摂」はそれ自体が社会的インパクト、社会的リターンだといえます。
新興国や途上国について考える時の着眼点の一つとして頭に置いておこうと思います。