認定NPO法人テラ・ルネッサンスの、月に一度の東京での活動報告会、テラ・スタイル東京に参加しました。
今回は、アフリカを拠点に活動している理事長の小川真吾さんに、現地での近況と、アフリカでの支援を通して学んだことをお話し頂きました。
==== いつもは、古くから活動していてスタディツアーも行っているウガンダを紹介する機会が多いということで、今回はウガンダ以外の活動国、コンゴ民主共和国とブルンジの話が中心でした。
●コンゴ事業
コンゴでの主な活動は3つ。共同農場の運営、コミュニティ道路の確保、そして職業訓練など収入向上支援です。
紛争による性暴力の被害女性たちや、元子ども兵の若者たちを支援しています。共同農場での作業や、道路整備などに自ら参加してもらうことで、未だ治安が悪くインフラも未整備なコンゴ東部で、食糧確保など基本的な生活基盤を確立するとともに、コミュニティへの貢献意識を高め、自立のきっかけをつくっています。
職業訓練では、洋裁や溶接など手に職を付けてもらっています。
Readyforで応援した、洋裁店のプロジェクトは順調に進んでいます。職業訓練校で技術を学んだ女性達が、近々お店を出すそうです。自分たちの少しずつの支援が確かな変化を生んでいると実感しました。
テラ・ルネッサンスのクラウドファンディング「幸せな洋服屋さんプロジェクト」(READYFOR)
コンゴ事業の詳細です。
認定NPO法人テラ・ルネッサンスの活動内容について l コンゴ事業
●ブルンジ事業
コンゴの隣国ブルンジは、長年の部族間の激しい紛争と内戦で多くの命が失われ、未だ一人当たりGDP最貧国の一つです。
テラ・ルネッサンスは、2014年の洪水後の緊急支援や、元子ども兵紛争被害者支援センターの建設に始まり、現在は、紛争被害者や最貧困層を対象に「コミュニティレジリエンス向上プロジェクト」を実施中です。
具体的には、養蜂によるハチミツ生産や、窯業(焼き物)などのコミュニティビジネスを支援しています。
地域の人達みんなでアイディアを出し合って生まれたオリジナルのハチミツ「AMAHORO HONEY」は、糖度82%、ミネラル豊富で、とても将来性のある商品です。まだ輸出できる体制にはなっていませんが、ぜひ味見したいと思いました。
認定NPO法人テラ・ルネッサンスの活動内容について l ブルンジ事業
●「レジリエンス」と「自尊心」
事業紹介の後は、鬼丸さんを交えて、テラルネの価値観を深掘り。
今回の小川さんの話の中で、「レジリエンス」というキーワードに注目しました。
レジリエンスは、もとは心理学の用語で、「困難な状況をしなやかに乗り越えていく力」といった意味です。コンクリートのようなガチガチの強固さではなく、柳や竹のように、風になびいても柔軟で折れない強さというイメージです。
弱い環境にいる人々も、レジリエンスを高めれば、自らの力で持続的に変化に適応していくことができます。
そして、このレジリエンスを向上させる大きな要素が「自尊心」です。
紛争被害者の人達の調査を通じて、経済的、社会的に脆弱な環境にあっても何とか乗り越えていけるのは「自尊心」が高い人だということが分かってきています。
●「ないもの」ではなく「あるもの」を探す
では、自尊心はどこから生まれ、高まるのでしょうか。それは、「他の人の役に立っている」という意識です。
紛争の影響で、コミュニティから断絶させられた人でも、他者に貢献し「自分が必要とされている」という実感を持つことで、自尊心を少しずつ取り戻すことができます。人間は社会的な生き物なので、これは当然と言えば当然です。
しかし、援助の世界は、どうしても相手に「ないもの」「足りないもの」を探し、そこを助けよう、傷を癒そうという発想になります。
自尊心を回復させるには、それだけではなく、地域に「あるもの」、相手が「持っているもの」(リソース)を探し、できることを増やすことが大切です。
これは、テラルネの掲げる「自立と自治」のベースとなる考え方で、非常に大事なポイントだと感じました。
例えば、ブルンジでの養蜂や窯業も、人口密度が多くて一人当たりの農地が狭い、粘土質の土壌で農業には不向き、というマイナス面を、むしろ地域のリソースとして活かした例です。
NPOなどの活動に関わる場合、その団体がどんな価値観に基づいて活動しているのか?をよく理解するほど、寄付やボランティアのしがいもありますし、自然と継続的に参加しやすくなると思います。
今回の小川さんの話は、まさにテラ・ルネッサンスの支援の理念をかみくだいてお話してくれたので、とても有意義でした。
次回のテラ・スタイル東京は、年明け1/11(水)予定です。
(追記)
レジリエンスは、途上国支援に限らず、国内の地域再生や復興支援、あるいは子どもの貧困など、いろいろな分野に共通する考え方です。テラ・ルネッサンスの岩手の大槌刺し子プロジェクトでも同じ考え方が反映されています。