セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

鎌倉投信「結い2101」運用報告会(2022年・秋)

鎌倉投信の運用報告会に参加しました。

前半は運用報告、後半は投資先による社会形成についてでした。質疑応答も詳しかったです。

1.運用報告
2.投資先による社会形成
3.質疑応答

運用報告

9月の受益者総会より、もう一段詳しく、結い2101の運用状況につきご説明がありました。過去1年のパフォーマンスと、リスク動向と株式比率、中期的なシャープレシオなどの数字が紹介されました。

(9月の受益者総会)

直近1年(2021年10月~2022年9月)で見ると、前半は結い2101に多く組み入れられている小型グロース株が大きく下落した一方、後半はいわゆる大型株がより売られたため、過去1年の下落率はTOPIXよりも結い2101の方が小さくなりました。

セミナー中のアンケートで、シャープレシオを意識しているか?という質問がありました。結い2101はリターン4%(コスト控除後)、リスク10%を運用目標としているため、シャープレシオ0.4以上が目安になります。中長期のパフォーマンスを確認する場合、頭に入れておくとよい数字です。

また、「ファンドマネージャーの眼」と題して、物価上昇や円安、景気減速などマクロ動向の運用への影響と今後の見通しについて説明がありました。新規投資先を組み入れることで、スタイル(グロース/バリュー)や規模(大型/小型)のバランスを取りながらポートフォリオをマネジメントしていきたいとのこと。質疑応答でもありましたが、現在はグロースの割合がやや高いと認識しており、いわゆるバリュー系の銘柄を検討中だそうです。

個別企業としては、4月に投資した新規投資先ピエトロについて、どんな視点で投資したのか、また、調査事例としてSHOEIの工場見学の模様が紹介されました。SHOEIは、個人的に株式も保有しており好きな会社です。生産効率と品質・安全性の高さを両立したプレミアムヘルメットづくりの技術レベルの高さが伝わりました。事故が起こった時に備える「パッシブセーフティ」ではなく、快適性や集中力を高め、事故を未然に予防する「アクティブセーフティ」の発想が随所に組み込まれています。欧州、アジアなどグローバルな成長を期待しています。

投資先による社会形成

鎌倉投信は「本業を通じて社会課題を解決する会社」に投資しています。投資先企業が、どのような課題にどんな事業を通じてチャレンジし、豊かな社会づくりに貢献しているのか、最近の事例が紹介されました。

特に今回は、脱炭素や環境対応の取り組みを中心に説明がありました。
・ヤマトHDのBEVトラック導入や超低温帯でのドライアイスフリー輸送
・萩原工業の廃ブルーシートのリサイクルシステム
・オイシックス・ラ・大地の、アップサイクル商品やふぞろい食材活用など食品ロス削減
これらの取り組みは、単に「環境にやさしい」「CO2を減らす」だけでなく、同時に業務効率化や顧客への新たな価値提供を実現しているのがポイントです。「社会性と経済性の両立」も鎌倉投信を語る上でのキーワードですが、こういった具体例は分かりやすいですね。

質疑応答

事前質問と当日質問ほぼ全ての質問に丁寧に回答されていました。大事な質問が多かったので、主なものを載せます。(全部ではありません)

Q)株価動向や為替動向のファンドへの影響は?
A)TOPIXとの連動性(β)は0.5程度で比較的低い(キャッシュポジションも高いため)。為替については、円安の恩恵を受ける企業(マニー、ナカニシetc.)と、デメリットを受ける企業(カゴメ、亀田製菓etc.)が両方あるので、概ね中立と考えている。

Q)「パーパス経営」の浸透に伴い、投資候補先は増えているか?
A)本業を通じた社会課題解決か、単なる見せかけだけのSDGsか、本物を見極める必要がある。

Q)株価が下がったので積立金額を減らすか、積立を止めるか悩んでいる。
A)ドルコスト平均法の本来のメリットを活かすには(一般論として)積立を継続するのが望ましい。(低い価格で口数を多く購入できる)

Q)ファンドの現金比率が高いことのメリットは?
A)価格変動リスクを抑えること以外に、株安の時にいい会社に積極的に投資できることや、顧客の解約があっても売り崩さずに手元現金で対応できること。

Q)鎌倉投信の企業調査の独自性は?
A)投資先の経営者だけでなく、企業に関わるいろいろなステークホルダーを取材すること。取引先、従業員など、調査対象が広い。スピード感には欠けるが、100年投資する、売らなくてもいい会社に投資する、という観点では、調査に10年かかってもいいと思っている。

Q)投資先企業との対話で重視しているポイントは?
A)本業で社会課題を解決できる会社かどうか。(長田さん)
会社の理念に社員が共感しているかどうか。(野田さん)
鎌倉投信の考え方に対する先方の理解度や納得度はどうか。投資先と鎌倉投信で、あるいは投資先企業同士の協業によって新たな価値を生み出せないか。(五十嵐さん)

 

最後に、全体を通して印象的だったことを一つ。セミナー中のアンケートで、「結い2101」の想定保有期間は?という質問がありました。私の参加した10/29の回では、「10年~20年」が29%、「20年以上」が28%で、合計すると「10年以上」と答えた人が6割近くでした。(ちなみに自分は「20年以上」と回答。今はその約半分です。)
長期で持ち続けたいという受益者が多いのはファンドの強みだと思います。

以上、運用報告会のまとめでした。
ここ最近は市場のボラティリティが高まっているので、結い2101の強みが発揮されると期待しています。また、新規投資先の組み入れも楽しみです。