セルフ・リライアンスという生き方

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投資信託と「伝える」こと

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一般の個人が購入できる、いわゆる公募投資信託は国内に実に6,000本もあります。

ただ、このうちお金を長期で託したいと思えるファンドは本当に少ないです。
(ここでいうファンド、とは主にアクティブファンドのことです。)

それは、過去のパフォーマンスが悪いとか、信託報酬が高いとか、そういう理由ではありません。安心してお金を託すのに必要な、本来伝えられて然るべきことが運用会社から伝えられていないからです。

- どんな運用者が、どんな運用哲学のもとに、どんな企業を、どういう方法で選び、どういう投資行動を取っているか。

- ファンドの投資先企業がどんな課題を解決し、社会に対してどんな価値を提供しているか。

お金を託す以上、当たり前に知りたいはずのこのようなことが伝わってくるファンドは、6,000本もの大量の投信のうちで一握りです。

もちろん、目論見書や運用報告書、月次レポートなどに情報はたくさん載っていますが、私の知る限り、定型的なもの、表面的なものに終始しているファンドが大半です。単なる事実や結果の羅列ではなく、運用者としての判断や行動の中身が知りたいです。

インデックスファンドの場合、指数との乖離の理由など計数的な部分を除き、「伝える」必要性は薄いです。しかし、投資先を選ぶ行為が根幹となるアクティブファンドにとっては、「伝える」ことがとても大事だと思います。

「伝える」ことがおろそかなファンドは、いくら過去に優れたパフォーマンスを出していても、そのパフォーマンスがどんな運用哲学と投資行動に基づくものなのか、それが将来も継続的に達成できそうか分からないので、安心してお金を託すことはできません。また、かりにパフォーマンスが悪い局面があっても、運用者の顔が見え、納得して投資しているファンドなら、安心して投資を継続できます。

アクティブファンドは、企業調査や投資先選びに手間がかかる分だけコストがかかる、と言いますが、ならばどんな手間をかけているのか、受益者にも分かりやすく伝えてください。後掲のNVICさんの考え方を借りれば、運用者としてどんな仮説を立て、どう行動し、検証したのか、ぜひ伝えてほしいです。

私が、「伝える」ことを大切にしていると感じるのは、やはり受益者とのコミュニケーションを強みにしてきた独立系投信各社(ひふみ投信、コモンズ投信、セゾン投信、鎌倉投信など)です。これらの運用会社のファンドを積み立てているのは、単にパフォーマンスだけでなく、「顔が見える」ところがとても大きいです。

最近ではその他にも、NVICさんのように、「受益者は投資先企業のオーナーである」という考え方に基づき、「伝える」ことを価値の中心に位置付ける会社も出てきました。

一個人としては、インデックスファンドと同じくらい、もしくはそれ以上に、アクティブファンドにも、個人の長期の資産形成の柱としての役割を担ってほしいと思っています。「伝える」姿勢を大事にする運用会社が増えれば、投資信託のすそ野も広がっていくのではないでしょうか。

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