セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンドの四半期レポート(2022年10-12月)

毎月購入している「ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド」の四半期運用レポート(2022年10-12月期分)が三菱UFJ国際投信のHPにアップされていました。

エディンバラからの便り~ポジティブ・チェンジ 2022年10-12月運用状況とベイリー・ギフォード社 長期投資の視点~(PDF)

今回も充実の内容でした。

1.2022年10~12月期のパフォーマンス

MSCI ACWI(配当込、円ベース)が参考指数です。過去1年では参考指数:▲5.3%に対し、本ファンド:▲20.2%とだいぶ負けていますが、3年、設定来では大きく上回っています。(設定来、参考指数+53.3%、本ファンド+98.9%)

2.パフォーマンス寄与企業の解説

上位はモデルナ、デクスコム、アビオメッドといった製薬・医療関係の企業が並んでいます。一方、下位はテスラ、デュオリンゴ、メルカドリブレです。

海外企業は疎いので、このような詳しい解説は有難いです。このうち、アビオメッド社はJ&JによるTOBの受け入れについて説明があります。売却資金で新規組み入れしたところまできっちり書いてあります。

このオファーは一定のプレミアムを有し、投資結果の確実性を高めるため、TOBのオファーを受け入れることが投資家の皆さまの最善の利益に繋がると判断しました。また、アビオメッド売却の資金を活用し、新たに2銘柄を組み入れました。

3.テスラとのエンゲージメントについて

イーロン・マスクが買収したTwitterに労力を割き、テスラの経営がおろそかになっているのではとの懸念から、12月にテスラの会長含む経営陣との対話を行ったそうです。(マスク氏本人とは面談していないようですが) 外国株式の投信で、このレベルの詳しい開示はあまりないと思います。

今回のロビン・デンホルム会長やCFOとの対話で、マスク氏がテスラの中心的な関与を維持していることを確認しました。彼はテスラの長期計画にとって引き続き重要であり、テスラのブランドと評判に対する潜在的なリスクについても引き続き議論していきます。

4.新規組入&全売却企業の紹介

(新規組入)レミットリー・グローバル、オートデスク
(全売却)バークレーライツ

投資理由、売却理由が分かりやすくコメントされています。ファンドの平均保有期間は6.1年と長いです。

5.ポートフォリオ

2022年12月末現在のポートフォリオ組入上位10社は以下のとおりです。
前四半期末(9月末)時点から入れ替わった企業(ザイレム)が色付けされているなど、細かい気配りも好印象です。

ちなみに、10~12月の間に上位10社から外れたのはテスラです。この間の株価下落が大きいようです。

6.長期投資の視点:ファンダメンタルと財務指標

このファンドのレポートの中で、個人的に一番好きであり、かつベイリー・ギフォードの長期投資家としての視点が色濃く出ていると思う部分です。

本ファンドと全世界株式の構成企業(ともに金融セクター除く)のファンダメンタルズ比較を通じて、本ファンドのポートフォリオが、中長期的な企業価値増大を達成しうる強い企業群からなることを確認するものです。

具体的には、FCF成長率、ネットD/Eレシオ、成長投資対株主還元比率(私が勝手に名付けました)の3指標によって、将来の価値創造のポテンシャルの大きさを示しています。数字で示されると非常に分かりやすいし安心感があります。このような「投資先企業は中長期的な企業価値創造ができているか?」という視点での開示は、他のアクティブファンドもぜひ参考にしていただきたいと思います。

足元のパフォーマンスは冴えないですが、長期投資家視点での説明力が高いので、受益者としては中長期的なパフォーマンスに対する確信度を高く持てるファンドです。引き続き詳しい開示を期待します。