セルフ・リライアンスという生き方

自分も社会も豊かにできるお金の使い方について。日々の投資や寄付の記録を綴ります。

バフェット・クラブの金言(阿部修平・著)【読了】

日本のアクティブ投資を30年以上にわたり牽引してきた、スパークス・グループのCEO阿部修平さんの著書を読みました。

本書は、スパークスの社内勉強会「バフェット・クラブ」での講義をまとめたものです。同社の投資哲学のエッセンスを分かりやすく知ることができます。

大きく2つのパートに分かれます。

前半は、「レジェンドの教え」
バフェットを始め、グレアム、フィッシャー、ソロス、ドラッカーなど巨人たちの言葉から、時代を超えても変わらない投資の普遍的な思考を学びます。

後半は、「企業分析と投資判断の要諦」
阿部さんが、先人たちの教えももとに長年培ってきた、スパークスの集中投資の考え方と手法が具体的に説明されています。

前半は、グレアムに始まるバリュー投資の歴史がおさらいできて、読み物として面白いです。阿部さんがバフェットと2018年に面談した時のダイエットコークの利益率のエピソードはなるほど、と思いました。フィッシャーの、成長企業をチェックする「15のポイント」は、今でも全く色褪せませんね。

参考になったのは後半の「企業分析と投資判断」のパートです。
ざっとポイントを紹介します。

・スパークスの実践する3つのプロセス
1.良い会社を探す
2.なぜ安いのかを考える
3.カタリストを探す
⇒ 「なぜ安いのか」を考えるのは大事ですね。いい会社を見つけると、つい「割安だ」と思いたいバイアスが働きがちです。

・良い会社の持つ3要素<3つの「輪」>
「経営者の質」・「市場の成長性」・「ビジネスモデル」
⇒ 成長市場には新規参入が付き物。競争優位を保ち続ける優れたビジネスモデルかどうかが重要です。

・「キャッシュフローの泉」を探す
⇒ 誰の、どんな問題を、どのような仕組みで解決しているのか。それは持続的にキャッシュフローを生み続けるのか。

ハイヤーパーパスがあるか?
⇒ 何のためにその会社、事業はあるのか。確固たるパーパスは、従業員やステークホルダーの共感を生む、と書かれています。創業ストーリーや、経営者の言葉からパーパスを読み解くことも大切と感じます。

主体的かつ客観的な仮説と検証
⇒ 常に自分の頭で考え、仮説を立てると同時に、それを多面的、俯瞰的に検証することが必要です。個人は機関投資家のようにチームで投資するわけではないので、自分の仮説がひとりよがりではないか、常に自省することが大事と思いました。

企業の「オーナー」として投資する
⇒ 阿部さんは、投資家は企業家(起業家)精神を持たなければいけない、と書いています。「この会社のオーナーになるんだ」と自覚すれば、どんな会社にでも投資していいわけはなく、いいビジネスを選ばないといけないのは自明の理です。

新しい「キャッシュフローの泉」、つまり企業が生み出す価値の源泉を企業家マインドで見つけ出す努力をすることが大切なのです。
(「投資家には企業家精神が必要」p132)

持続的にキャッシュフローを生むビジネスモデルを見極める、オーナーシップを持つ、仮説と検証を繰り返す、無駄な分散はせず良い企業に集中投資する、、どれも大事です。ともにバフェット的な考え方がベースなので「おおぶね」の奥野さんとも相通ずる部分も多いと感じました。

ビジネスモデルを見極め、いい企業を選び、価値と価格のギャップ解消に主体的に参加する。インデックス投資が投信業界を席捲していますが、スパークスのようなアクティブな投資は、企業の最適な資本配分とイノベーションを促し、企業価値を持続的に向上させ、ひいては社会全体を豊かにするために、我々個人投資家にも求められているのではないでしょうか。

「マクロはミクロの集積である」という信念のもとに、「良い企業に安く投資する」ことで、投資家も投資先企業も投資先の社員も地域社会も幸福になることを希求する姿勢が大切だと思います。
(「自分が起業するつもりで資源を投入する」p175)

難しい数式は出てきませんし、専門用語も少なく、項目ごとに四コマのイラストが付いていてとても読みやすいです。これから投資を始めようとする方にぜひ触れてほしい一冊です。株式投資とは何か、企業に投資することの意味を理解できると思います。