大和住銀投信投資顧問が運用する、インパクト投資に注目した<世界インパクト投資ファンド>をご紹介します。愛称は「Better World」。2016年8月に設定されました。
同ファンドは「社会的課題を解決することで、私たちが住み良い社会“Better World”の実現を助ける企業を応援します。」とうたっています。
公募投信としては本格的なインパクト投資ファンド
そもそも「インパクト投資」とは、「社会的課題の解決と経済的利益との両立を目指す投資活動」です(交付目論見書より)。
当ファンドは、「インパクト企業は、革新的なソリューション、大規模な潜在的市場、メガトレンドとの合致などによる構造的な優位性がある」という投資哲学に基づき運用を行なっています。
当ファンドは社会的課題を切り口に、企業が社会に与えるさまざまな影響(インパクト)に着目するとともに、課題解決によって生まれる未開拓の市場で成長する企業に投資することで、投資収益の拡大を目指します。
(「当ファンドの運⽤と投資哲学のご紹介」より)
同ファンドを実際に運用するのは、米国ウエリントン・マネージメントです。
ポートフォリオマネージャー、エリック・ライス氏のインタビュー動画がアップされています。
それによると、投資先を選ぶ基準は以下の3点です。
・社会的インパクトが企業戦略の中核にある
・社会的インパクトの独自性が高い
・インパクトが計測可能
注目するインパクトは、国連のSDGsも念頭に置き、「衣食住の確保」「生活の質向上」「環境問題」を柱にした10のテーマです。
もともと、貧困や教育、環境などの分野は、短期的には利益に結び付きにくく、投資先の規模も小さかったりで、上場企業に投資する公募投信でインパクト投資を打ち出すファンドは非常に少ないです。
※インパクト投資を打ち出した投信として、私も少し持っていたブラックロックの「インパクト株式ファンド」がありますが、残高は伸びていません。同ファンドの投資先上位は、アップル、マイクロソフト、グーグル・・・と、そもそも「インパクト投資」と言えるか微妙です。
一方、「世界インパクト投資ファンド」は、世界の社会的課題は、その解決を通して大きな市場が生まれるビジネスチャンスと考えているのが特徴です。
G8でのインパクト投資の提唱、最近の国際的なESG投資の流れなど「投資と価値観の一致を求める声が拡大」してきたことや、近年インパクト志向の企業が新興国を中心に急激に成長していること、投資先として長期的な評価や分析が可能になってきたことが、このようなファンドを作った理由です。
(販売資料より)
世界インパクト投資ファンドの投資先企業・ポートフォリオ
具体的な投資先企業もなかなか魅かれました。
11月末現在の組入1位は、ケニアの通信会社サファリコム。
モバイルバンキング「M-PESA」で、ケニアを初め各国で、銀行口座の持てない貧困層の金融アクセスを可能にしました。
8位には、バングラデシュのグラミンフォンが入っています。ブラジルで教育を手がけるクロトン・エデュカシオナル、⽔資源管理システムのアイトロンなども面白そうな企業です。
11月末現在の投資先は57社と、グローバル株式のファンドとしてはかなり絞り込まれた厳選投資です。純粋に海外株式のアクティブファンドとしても面白いのではないのでしょうか。
全ての投資先をチェックしたわけではありません。また、上場企業対象なので、経済的リターンよりにはなりますが、「社会的インパクトを生み出す事業に投資しよう」という明確な意思のもと、インパクト投資を真面目にやっている印象を受けました。
(11月末時点、月次レポートより)
10月末の国別割合は次のとおり(目論見書より)。
設定後1年(2016年8月~2017年8月)のマザーファンドのパフォーマンスは、+24.4%で、参考指数のMSCI ACWI(配当込み)の+27.5%に劣後しました。期間が短いのと、かなり特徴のあるファンドなので参考程度です。
ただ個人投資家としては少し買いにくい
以上の通り、外国株式クラスの、ESG・インパクト投資関連ではとても面白いファンドですが、残念なのは販売会社。
野村、東海東京など8社で、全て販売手数料あり(3%前後)です。わざわざ口座を作って手数料を払ってでも、、と言いたいところですが、買いにくいです。
ぜひ、ネット証券で、できればノーロードで扱ってほしい!
大和住銀さん、各ネット証券さん、よろしくお願いします。
【過去記事】