セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

セゾン共創日本ファンド・第3回「共創日本会議」

セゾン投信の「セゾン共創日本ファンド」の月次の勉強会「共創日本会議」。
今月もリアルタイムで参加しました。

今月は大きく3本立てでした。

1.投資先企業の紹介

2.長期投資入門(第2回)

3.ESGの世界的潮流

投資先企業の紹介

投資先企業のポイントの紹介でした。3月末時点の上位5社は荏原、フルヤ金属、ローム、ヤクルト、メルカリです。(現在の投資先数は20社か21社だと思います)

荏原は3月の月次レポートに詳しく載っています。

フルヤ金属はイリジウムやルテニウムといった貴金属を扱う世界シェアの高いニッチ企業ですね。来月のレポートで取り上げるそうです。

ヤクルトは「プロバイオティクス」で注目されています。メルカリは、成長株のバリュエーション低下で株価は大きく下がってしまいましたが、ポートフォリオ全体としてはまずまずの滑り出しのようです。

Yahooファイナンスの3ヶ月チャートでTOPIXと比較しました。(2/1運用開始のため始点が一致しないので注意。青が共創日本ファンド。)

なお、このファンドはほぼ均等投資(約20社、1社あたり約5%)なので、株価次第で上位企業はすぐ入れ替わるとのことでした。あまり「上位5社」に大きな意味はありません。

長期投資入門(第2回)

先月に続き、ファンドマネージャーの山本潤さんによる長期投資入門講座。

配当の永続性と配当の成長、企業・投資家双方による利益の再投資による成長、という株式投資の長期的リターンの源泉について基本的かつ重要なお話でした。

・長期投資における配当の重要性
-  配当は企業が続く限り永続する
-  日本企業の配当成長率は平均6~7%(期間等は不明、聞いたままです)
-  配当の再投資による複利効果

・株式投資とインフレヘッジ
長期的に見れば株式はインフレヘッジになる。
例)某化学メーカーの株価:
 1951年 55円 → 2022年 16,000円(290倍、年率8.3%)
ただし、値上げしても顧客が付いてくる企業に投資しなければヘッジにはならない。その企業でなければダメなものを提供しているかどうか。(例えば「100円ショップ」はNG)

・上場企業の成長プロセス
成長を目指す経営者の意思 → 規模拡大による効率化、生産性向上 → 利益の再投資による拡大再生産

・スケールメリットの存在
ビジネスには固定費があるので規模拡大により利益率がアップ。売上を増やすことは利益率を高める基本。

・再投資が成長のベース
経営者の役割はより利益率の高いビジネスを見つけて利益を再投資すること。企業が見つけられなければ投資家はエンゲージメントを通じて株主還元を求め、自らより利益率の高い別の企業に再投資する。→ この再投資の仕組みによって全体が成長する。

・ROE向上の意味
① ROE × 配当性向 = DOE
 ROEが上がればその分配当が増える。配当を再投資することで保有株数が増える。(インカムゲイン)

② 成長率 g = ROE ×(1- 配当性向)
 利益を全て内部留保した場合、ROEの増加分だけ自己資本は増加。PBRが一定ならば株価はその分上昇する。(キャピタルゲイン) このgはいわゆるサステイナブル成長率ですね。

・上場企業の拡大のパターン
 普及率の向上、シェアの向上、価格の向上、員数の向上、地域の拡大

・投資戦略の基本
「持続的成長のためには、付加価値の高いものを従来よりも少しだけ高い値段で提供するサイクルを作り出すこと。」

ESGの世界的潮流

アナリスト大月さんより、ESG投資の歴史についてのお話でした。長期で投資する以上ESGは避けて通れない要素です。

20世紀の初め頃に、宗教的倫理観から、たばこやギャンブルなどを除外するSRIが生まれ、60年代以降の人種問題や環境問題、反戦運動と重なった株主権の行使の流れを経て、現在のESGにつながっていったという欧米の流れは知っていましたが、日本のESGの沿革が特殊だという話は興味深かったです。

間接金融とメインバンクによるガバナンスが中心だった高度成長期から、90年代のバブル崩壊を経て、株主中心のガバナンスへと変わっていった流れはなるほどと思いました。2010年代以降の日本のESGは「E」や「S」ではなく、資本市場改革の一環として、より基本的なROE向上やガバナンス強化の文脈から広まっていきました。

2つのコード(スチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコード)によって、企業と投資家が対話を通じて持続的に企業価値を向上させ、インベストメントチェーンを回しながら経済全体の成長を目指す、というあるべき姿にようやく向かいつつあります。

自己資本を厚くして、キャッシュをため込み、むやみに多角化してリスク分散するといった債権者が望むような経営は、株主から見れば真逆の評価となります。欧米から遅れている分、日本企業はエンゲージメントによる伸びしろが大きいと思います。それだけ投資家の果たす役割が大きい時代になったということですね。

ESGの話を聴けたのは意外でした。第3回も勉強になりました。