セキュリテのファンドで、ミャンマーのマイクロファイナンス機関(MJI社)に出資しています。
日本人の加藤侑子さんが代表を務めるMJIは、ミャンマー国内で、女性の零細事業者向けに小口の融資を提供しています。過去に何度か当ブログで紹介しました。
昨年末に、そのMJI主催で、ミュージックセキュリティーズ、ファンドの運営をサポートしている認定NPO法人Living in Peace(LIP)、さらに、同じくミャンマーで零細事業者向けのコマース事業を手掛けるリンクルージョンが一同に会するオンラインイベントがあり、参加しました。
MJIの事業報告
前半は、加藤さんよりMJIの事業報告でした。
MJIは、ミャンマー国内に10の支店をもち、スタッフ115人(うち日本人3人)の体制で、女性の零細事業主を中心とする2万人を超える顧客を、融資と非金融の支援を組み合わせてサポートしています。
ファンドの方は1期目の会計期間を終え、分配金が支払われました。金額や利回りは伏せますが、第1回は十分満足のいく水準でした。
現地スタッフの方々の話もオンラインですが聞くことができ、出資したお金が、どのように現地の人達の生計向上に役立っているか実感できました。ミャンマーでもコロナの問題は厳しいですが、MJIは様々な工夫をしながら業務運営を行い、融資先に対するサポートも続けています。
このファンドは、投資家向けの月次レポートはじめ、報告や説明がとても丁寧で分かりやすく、投資している側としてはとても信頼感を持っています。単に数字の面だけでなく、顧客の生の声や、マイクロファイナンスがどう役立っているかを伝えてくれるので、MJIへの投資の意義がよく分かります。
MJIとリンクルージョン
後半は、MJI加藤さん、ミュージックセキュリティーズの杉山さん、LIPのキョウさん、リンクルージョンの黒柳さんの対談セッションでした。
リンクルージョンは、ミャンマーで、現地のマイクロファイナンス機関のIT化支援(クラウドサービス)と、地方の個人商店向けのコマース事業を柱に活動しています。
後者のコマース事業については、「ミャンマー農村ラストマイル配達ファンド」としてセキュリテで資金を調達しました。私も出資中です。同社の取り組みについてはこちらを。
MJIも、リンクルージョンも、経営者が日本人であること、ミャンマーでインクルージブな経済社会を目指している点は共通しています。
両社は、共同で顧客向けのフリーペーパーを発行して金融教育や情報提供を行ったり、リンクル―ジョンの顧客にMJIの融資を紹介したりと、パートナー関係にあります。投資家からみても、投資先同士がこうやって連携して、事業の価値を高めているのはうれしいことです。
ミャンマーでも、コロナは大変な状況で、村や地域単位でロックダウンなどもしているそうですが、マイクロファイナンスの顧客の中心である農村の女性商店主は、軒先で食料品や雑貨を売りながら、家畜や作物を育てたり、と少しずついろいろな仕事をしながら生計を立てています。コロナ禍の中でも、たくましく生きていく人達の姿が想像できました。
インパクト投資の意義
さて、MJIのファンドも、リンクルージョンのファンドも、お金のリターンだけでなく、社会的なリターン=投資を通じた社会課題の解決を目標としています。そのような「インパクト投資」の意義について、ミュージックセキュリティーズの杉山さんが、ブログでとても大事なことを書かれているので、紹介しておきます。
インパクト投資のエコシステム ゆっくり、いそげ?~セキュリテ自由帳~
関連して、LIPのキョウさんが、コロナをきっかけに寄付が盛り上がったのに、投資に対する理解は広がっていない、ビジネスを通じた課題解決を支える投資の意義がまだまだ理解されていない、ということを話されました。同感です。
私が投資したお金は、誰かのビジネスの元手になり、付加価値を生み、その一部がリターンとして戻ってくると同時に、その過程で人々の生計向上や雇用創出などの社会的なインパクトを生んでいきます。投資は、投資する個人の資産を増やすためだけではなく、社会全体を豊かにすることができるお金の循環であり、かつそこには持続性があります。杉山さんはエコシステムと表現していますが、このような投資の意味がもっと理解されてほしいですね。
セキュリテでの投資では、まさにこのことを実感しています。MJIやリンクルージョンのファンドへの出資を通して、ミャンマーでの金融包摂とインクルージブな社会づくりにいくばくかでも貢献できればうれしいです。