半導体という大きな産業の全体像が分かる良書です。著者の菊地さんは、NECで長く半導体関連事業に携わった方。
ろくすけさんのブログで知りました。
菊地正典『半導体産業のすべて』を読む。 | ろくすけの長期投資の旅
四季報などをパラパラめくっていると、製造業で、利益率が高かったり好調な会社は、半導体に関わるビジネスを手掛けていることが多い印象です。特に、製造装置や部品、材料関係では世界で高いシェアを持つ強い日本企業が多くあります。
一方で、半導体は工程が多岐にわたり複雑で、産業のすそ野も広いため、事業内容を見ても、その会社が製造プロセスのどの部分にどんな形で関わるのかイメージするのが難しかったりします。
本書は、そんな「半導体は何となくしか分からない」という人向けに書かれています。帯コメントのとおり、「複雑な産業構造と関連する企業群を製造工程から整理」しているのが大きな特徴です。
おススメポイントは2つ。
・半導体の製造工程を図解付きで分かりやすく、詳しく解説
・製造工程に沿って、関わる業界と代表的な企業を紹介
「この会社とこの会社がこの領域では競合なのか」「この会社の作った材料をこの会社が仕入れているのか」など、企業間の関係や半導体のバリューチェーン全体が見えてきたりして、理解が深まりました。本の後半では、半導体の基本的な仕組みや技術の解説もあります。
半導体は「長期潮流」の観点で欠かせないジャンルだと思っています。投資先の数社は半導体関連です。
技術的な本が多い中で、製造工程と関連企業を中心に書かれた本書は、個人投資家には貴重ではないでしょうか。