約3ヶ月にわたり受講した、エシカル協会のフェアトレード・コンシェルジュ講座。
全8回の最終回は、ピープルツリーの広報・啓発担当の鈴木啓美さんと食品担当の松本理代さんがゲストでした。
ピープルツリーの取組をお聞きした上で、各参加者が今後の仕事や生活の中で、どうフェアトレードを実践し、伝えていくか考えました。
●ピープルツリーのフェアトレード
サフィア・ミニーさんが創設したピープル・ツリーは、エシカルファッションやフェアトレードの分野で最も有名なブランドの一つです。
ピープルツリーの商品づくりは、WFTO(世界フェアトレード機関)の10の指針に従っています。
この指針は、公正な対価、児童労働の排除、安全な労働環境、環境配慮、生産者の能力向上・・・といったフェアトレードの基本原則です。
(10 PRINCIPLES OF FAIR TRADE | World Fair Trade Organization より転載)
食品担当の松本さんから、ケニアのマンゴージャムとハーブティーを例に、産地や生産者の写真も交えながら実際のフェアトレードの取組が紹介されました。
ピープル・ツリーでは、ケニアのナイロビから6時間ほどのメル地方にある「メル・ハーブ」という生産者団体からジャムや紅茶を仕入れています。
現地の女性達が、極力機械を使わない手仕事で、収穫から製品にするまでの工程を一貫して行っています。
ピープル・ツリーは、生産者に納期や生産量などで無理を強いないことを第一に考えています。
そして、次のような生産者に対するサポートも行っています。
・従業員の家庭にソーラーパネル(無電化村のため)や水汲み用の自転車を支給
・生産者団体の事務局に貯蓄用の口座をつくり従業員の貯蓄をサポート
・農家の3分の2はオーガニックに対応済、残り3分の1も移行中
・農家向けに栽培技術や生産計画の教育プログラムを実施
・・・・
フェアトレードは、単に生産者に適正な対価を支払うというだけでなく、生産者の生活改善や生産技術向上、金融(マイクロファイナンス)などの要素も含めて、トータルな社会開発的な取り組みであることがよく分かりました。
また、現地の人達が本当に楽しそうに働いていることと、生産者と直接コミュニケーションし、日本に伝えている松本さんも、とてもやりがいを持っている感じが印象的でした。
松本さんは、できた製品を見るたび、現地の女性達の顔が思い浮かび気持ちが安らぐと言っていました。買い手から見ても、生産者とつながれる実感がフェアトレードの魅力だと思います。
ジャムを試食しましたが、原料がマンゴーと砂糖のみとは思えない濃厚な甘さでした(ハチミツが入ってるのかと思ったぐらいです)。
●フェアトレード商品のキャッチコピーをつくってみる
フェアトレードというと、「公正な貿易」「貧困の解決」・・・と難しい言葉が並びます。
どうしたらもっと分かりやすく伝えられるか?ということで、後半は、各参加者が、試食・試飲したマンゴージャム、ハーブティーを消費者に楽しく伝えるコピーづくりにチャレンジしました。
自分はありがちですが、キーワードをとりあえず並べて、
「ケニアのママと大地が育てた愛情たっぷりマンゴージャム」としてみました。結構考えましたがこれが精一杯。
着眼点は十人十色でみんな素晴らしかったですが、たまたま、参加者の中にプロのコピーライターの方がいて、一人だけ群を抜いていました。一応著作権もある?ので載せませんが、さすがプロ、言葉の使い方が素人とは別次元で会場を沸かせました。
例えば、IKEUCHI ORGANICの「風で織るタオル」などは、シンプルな言葉でも、その商品の背景にあるストーリーを知りたくなるいいコピーだと思います。
コピーを考えながら思ったのは、難しいことを抜きに、まずは気軽にエシカルやフェアトレードに触れて楽しめるようなきっかけが大事だということ。環境やオーガニックも同じような面があります。
最後に、バナナペーパーでできた、エシカル協会公認の「フェアトレード・コンシェルジュ」認定証を頂きました。
消費もサステナブルな未来への一票を投じるお金の使い方のひとつです。
日々の生活を100%エシカルとは到底いきませんが、できる範囲でフェアトレードやエシカルな消費を取り入れつつ、まわりの人にも自然に伝えられればいいですね。
過去のフェアトレード・コンシェルジュ講座参加レポです。
・第6回・AFRIKA ROSE代表 萩生田愛さん