セルフ・リライアンスという生き方

自立した個人として豊かに生きる。長期投資のメモ。

投資と寄付~積立投資とマンスリーサポート

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「投資」と「寄付」。このブログの2大テーマです。
この2つの経済的行為は、一般的には真逆のものと考えられているようです。

「投資」は自分のため、お金を儲けるためのもの。
「寄付」は他人のため、お金を誰かにあげるもの。

しかし、実は投資は他人のためでもあり、寄付は自分のためでもあります。

企業は、投資をもとに事業を行い、世の中を豊かにするさまざまな製品やサービスを生みだし、顧客に価値を提供し、従業員や取引先を支えます。
NPO/NGOは、寄付をもとに、企業や政府が対応できないようなさまざまな社会の課題に取り組みます。その価値は寄付者にも還ってきます。

投資と寄付を続けているうちに、この両者は、経済的なリターンの有無や、それぞれが適した領域の違いこそあれ、実は地続きにあるお金の使い方だと考えるようになりました。

積立投資とマンスリーサポート~共感に基づく長期的コミット

今、8社の運用会社の10本の投資信託(アクティブファンド)に毎月積立投資しながら、9つのNPOをマンスリーサポーター(一部年会員)として継続的に応援しています。

投資と寄付はつながっている、と書きましたが、毎月、コツコツお金を託し続けるこの行為は、感覚的には確かにとても似ています。これは、両方やっている人には分かって頂けると思います。

両方とも、お金を託す相手(運用会社やNPO)に「長期的にコミット」するものです。もちろん、いつでも辞められますが、お金を託す先のビジョンや価値観、アプローチ方法に一定の共感や信頼がなければ始められません。

そして、コミットした以上、どういう企業に投資しているか、あるいはどんな課題にどういう方法で取り組んでいるか、というお金の使われ方や、自分の託したお金がどんな価値創出あるいは課題解決につながったか、に自然と関心を持ちます。

なので、積立投資やマンスリーサポートは、スポットの投資や寄付よりも、お金の出しっぱなしではない、主体的な関わりやつながりを生みやすく、お金の出し手にとって出しがいのあるものだと思います。(どこに投資しているか、寄付しているかほったらかしで忘れてしまってもいいのですが、こと寄付については、サポート先の活動について常に関心を持つ方がベターだと思います)

※上記とやや違う観点で、そもそも「投資信託」自体、多くの個人から少しずつ託されたお金を、運用会社が一定の運用哲学のもとで投資し、リターンを配分するという意味で、本源的に非常にソーシャルな金融だと思っていますが、その点はまた別の機会にゆずります。

受け手にとっての「継続的なお金」

そして、この、共感と長期的な関係性に基づくお金(積立投資とマンスリーサポート)は、お金の受け手である運用会社やNPOにとっても、「受けがいのあるお金」として共通する点があるのではと思います。

まず、少額でも多数の投資家や寄付者から毎月安定的にお金が入ってくることは、多くの人に活動を継続して支持されているという実感を生み、モチベーションや責任感、コミュニケーション意識が高まります。これは特に財源に占める寄付割合が高いNPOの方々からはよく聞きます。私が保有している投資信託の中には、価値観を共有してくれる投資家を大事にするため、毎月積立での投資しか原則受け入れていないファンドもあります。

また、実務上も、長期的な視点で運用、運営できるメリットが大きいです。いい投資信託かどうか判断する大きな材料の一つが、マーケットの状況に関わらず安定的な資金流入があることです。これには積立投資家の役割が大きいです。

NPOの世界でも、スポットの助成や補助金ではなく、マンスリーサポートなど継続寄付によって将来にわたる財源の見込みがつけば、長期視点で事業ができます。短期的に成果が出にくい社会的事業にとって継続寄付は大事です。

投資と寄付をボーダレスに

最近は、自分より若い世代(20代、30代)で積立投資を始める人が増えているとニュースで聞きます。また、震災以降、そしてコロナ禍にあって、所得は伸びていなくても、クラウドファンディングや寄付で支え合う動きもじわじわと広がってきました。

この流れの延長で、投資信託に積立投資している人がNPOのマンスリーサポーターになったり、逆にマンスリーサポートしている人が積立投資をしたりと、長期視点の投資と寄付がボーダレスになっていったら、貯蓄が美徳だった団塊世代から、次の世代にお金が移転していく過程で、この国の将来にも光明が見えてくる気がします。

人口増加と経済成長の時代が終わり、営利と非営利がセクターを超えて協働しなければ複雑で多様な課題を乗り越えていけない時代です。個人のお金の使い方も、資産形成のために投資する、社会貢献のために寄付する、という単純なものではなく、それらがブレンドした多様な動機のものに変わっていくのではないでしょうか。

(過去記事)

寄付者は社会的リターンを求めてお金を託す投資家

積立投資開始から満10年

セキュリテ「私のブレンド・ファイナンス」にインタビューが掲載されました

投資×寄付「意思をもったお金の使い方」 D×P代表 今井紀明さん × レオス・キャピタルワークス 藤野英人さん

【イベント登壇しました】「未来をつくる」お金の使い方 〜寄付の仕組みをつくる人・寄付を活かす人・寄付をする人